/キリスト教はローマ帝国の皇帝崇拝と多神教を拒否して迫害された、と答えることになっている。しかし、迫害ばかりされていたら、大帝国を乗っ取るほど教勢が伸びるわけがあるまい。/
イエス生誕から百年を目前に、この突然の暴政は終末論を再燃させました。離島での幽囚の間に、使徒ヨハネは、この世の最後を預言する『黙示録』を記したとされます。また、このようなこの世の終わりとの恐れから、すでに世を去った母マリアが、同地の地母神アルテミスの属性を取り込み、イエスへの執り成しを祈る崇敬の対象となっていきます。
では、前半のまとめです。ローマは、建設・娯楽・軍隊で慢性的な財政危機。そこで、ローマの穀倉、アレキサンドリアを抑えるユダヤ人を排除し、対立が激化。陰謀が渦巻き、心の美徳と手の汚れの欺瞞に、罪を問うキリスト教が浸透。そんな中、ローマ大火でキリスト教の迫害が起こり、ユダヤ戦争でイェルサレムを破壊。フラウィウス朝は、反乱テロを起こすユダヤ人だけでなく、哲学も追放。ユダヤ嫌悪のグノースティシズムが流行し、キリスト教では終末論が再燃。前半はこんなところかな。
(2)に続く
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大阪芸術大学 哲学教授
美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。