フリーメイソンの成立事情を巡る対話:レン・ニュートン・ラムゼー

2018.01.28

開発秘話

フリーメイソンの成立事情を巡る対話:レン・ニュートン・ラムゼー

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/フリーメイソン(自営石工)のブルーロッジは、中世、さらには古代にまで遡る。だが、近代になって、各地のロッジを統括し、政治利用しようとするゼネコン連中や投資家連中が、その上にレッドロッジ(グランドロッジ)を作り、その支配権の争奪を始める。/

「一五五五年のアウグスブルクの和議で、領邦単位の宗教選択ということになると、面の領邦国家にとって、その中に点在している中世的な商人貴族の自治都市の存在がじゃまになった。で、領主たちは、傭兵と建築と演劇で、これを解体していく」「ほう、おもしろい見方ですね」「薔薇十字友愛団の到来を告げ知らせるパンフレットが出回ったのが、一六一四年。書いたのは、テュービンゲンの神学者アンドレーエ。まだ二八歳。ところが、イングランド、ロンドン市には、医師、じつはパラケルスス派のホンモノの錬金術の大家ロバート・フラッド四〇歳がいて、すぐその翻訳解説を出した。翌一五年には、イニゴー・ジョーンズ四二歳も、イタリアからパッラーディオ様式を学んで戻り、王室建設局測量設計師長に任命されている」

「それで、彼らが薔薇十字友愛団を創った?」「そう簡単ではないよ。一八年、頑迷なカトリックのフェルディナント二世がボヘミア王になり、プロテスタントのプラハ市の商人貴族たちが、これと対抗するために、新旧両教領主連合の盟主と目されていた冬王プファルツ(宮廷)選帝伯フリードリッヒ五世を担ぎ上げたせいで、ねじれを生じた」「三十年戦争ですね」「フリードリッヒ五世はイングランド王の娘婿。難しい立場に立たされ、一六二〇年には、領主連合計画に失敗した大法官フランシス・ベーコンが五九歳で失脚。政界から引退して、密かに『新アトランティス』で科学の理想郷を描き出す。一方、四八歳のイニゴー・ジョーンズは、三一年、国教会創設で廃止された修道院の跡地にローマ風の商業モール、コヴェンドガーデンを創っている」「市内の古い商人貴族たちの既得権を打破するために、ロンドン市の西郊外に新興商人たちのための新しい市場を開いたんでしょうね」

「ただ、三七年にホンモノの錬金術師ロバート・フラッドが六三歳で亡くなってしまった」「おや、また薔薇十字友愛団が遠のいてしまった」「でも、四四年、二八歳の博学者ジョン・ウィルキンズが、二七歳のカールルイスの専属牧師となっている」「カールルイス?」「「冬王」プファルツ選帝伯フリードリッヒ五世の息子、つまり、国王ジェームズ一世の孫。ドイツだと、カールルートヴィッヒ。戦争を避け、イングランドに亡命していたんだ。で、そのジョン・ウィルキンズが、グランドツアーでガリレオ・ガリレイに学んだアイルランド貴族ロバート・ボイル十七歳ら、好事家たちを集めて、ロンドンの酒場で、ほんとうに薔薇十字友愛団のようなものを結成したんだ」「あ、「見えない大学」か」

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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