フリーメイソンの成立事情を巡る対話:レン・ニュートン・ラムゼー

2018.01.28

開発秘話

フリーメイソンの成立事情を巡る対話:レン・ニュートン・ラムゼー

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/フリーメイソン(自営石工)のブルーロッジは、中世、さらには古代にまで遡る。だが、近代になって、各地のロッジを統括し、政治利用しようとするゼネコン連中や投資家連中が、その上にレッドロッジ(グランドロッジ)を作り、その支配権の争奪を始める。/

「ああ、マクダグラス教授は、いわゆるユニタリズム(神一主義)というわけか。ニュートン以前に、デカルトやパスカル、ロック、ヒューム、スピノザ、ライプニッツなんかも、みんな、ユニテリアンどころか、もう仏教と同じような汎神論、理神論だもんなぁ」「そう。神は、全世界と一体の、宇宙法則のような無機的なもの。中世カトリックのキリスト教が説いてきたような、怒ったり、喜んだりする擬人的な神なんて、古くさい原始人のための神話ですよ。至高至善の神に、父だの、子だの、そんな人間くさい親子関係があるわけがない」「まあ、それが啓蒙主義なんだろうね」

「いえ、キリスト教の最初からですよ。知ってのとおり、イエスの時代から、イエスが何なのかは、大きな議論になってきた。ある人に言わせれば、生き神、また、ある人に言わせれば、神の言葉の預言者、反ローマの革命家、大言壮語の詐欺師。イエスが処刑されても、この問題はなにも解決しなかった」「当初は、それぞれの分派がかってにイエスの名を騙って好き勝手にやっていたみたいだね。だけど、パウロが出てきて、イエスは救世主だ、神そのものだ、って、やって、キリスト教ができたんだろ」「それは、カトリック教会が後から作った歴史ですよ。当時は、パウロだって、イエスの名を語る数多くの分派のひとつにすぎなかった。各地に教会ができる時代になっても、諸説がいりみだれたままだった。ところが、最初のキリスト教徒皇帝コンスタンティヌス一世が、三二五年に第一ニカイア公会議を開いて、パウロ系アタナシウス派の三位一体説を正統として、ユニテリアンのアリウス派を異端にしてしまった」

「でも、ユニテリアンは無くならなかった」「そりゃそうですよ。三位一体なんて、イエスの言葉じゃない。旧約聖書にだって出て来やしない。二〇〇年頃のティルトゥリアヌスが『ヨハネ福音書』を継ぎ接ぎにして捏ち上げた図式ですよ」「まして『ヨハネ福音書』じゃなぁ。ルターなんかは大好きだったらしいが、ありゃ、他の三つのまともな共観福音書とはまったく別の、トマス派と対立するヨハネ派独自の思想書だもんな。まあ、新約聖書の編纂で、『トマス福音書』をはじめとするトマス派文書が排除され、ヨハネ派文書が大量に割り込んだことからして、ニカイア公会議なんて言ったって、最初からだれも議論なんかする気は無くて、ただアリウス派を最終的に排除するためだけのものだったんだろうなぁ」「トマス派は、もともとユニテリアンで、教会を介さないグノーシス(直接認識)派でしたからね」

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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