/相手が去っても、愛は残る。平穏無事とは名ばかりの空虚な一生よりも、たとえいつか彼女が去ってしまうとしても、人生のすべてを賭けて、泣いたり、笑ったり、幸せな思い出がつまったリアルな人生を選ぶ。それがウィルの新たな決断。/
いずれにせよ、ここまでリアルである必要があったのだろうか。じつはどうも、そのリアルということこそが、わかりやすい逆シンデレラストーリーの裏に隠されたほんとうのテーマだったのではないか。
まずはあらすじの再確認
話は、書店主ウィル(ウィリアム・タッカー)の視点で進んでいく。ただし、映画の観客が見ているものと、ウィルに見えているものが最初からズレている。彼の世界は、この小さなノッティングヒルの街で完結している。映画くらいは見るが、英国お得意の芸能ゴシップ新聞なんかぜんぜん読まない。インテリの読書家で、かなりの近視。(小さい店なのに万引防止カメラがあるとか、彼の近視の設定は、大きな意味がある証拠。)
(完全女優武装しているアナ。ベレー帽はシャネル!)
ある春の日の週末、ハリウッドスターのアナ・スコットが書店に来たときも、一目惚れするほど彼女のことは見えてはいない。だが、目が悪いばっかりに、角を曲がったところで、紙コップのオレンジジュースをアナに引っかけてしまう。慌ててティッシュで拭こうと手を胸に近づけてアナに怒られ、電話だったら、うちにある、すぐそこなんだ、ということで、交差点の向かいの青いドアの家へ。
買ったばかりの服に着替えてアナがバスルームから降りてくると、おわびにもてなそうと、お茶でも、いやコーヒー、コーラでも、と、あたふた。でも、アナは、もう帰る、と言うので、じゃあ、と送り出した。ところが、アナが戻ってきて、本を忘れた、とか。それでまた出て行くときに、いきなりキス。ウィルには、わけがわからない。
それから、どこでどう調べたのか、アナの方から電話があって、ウィルの妹の誕生会にアナも来て、友人たちに紹介。いっしょに映画を見に行き、レストランで隣のテーブルのゲス男たちを懲らしめ、ついにはホテルの部屋にまで誘われた。ところが、上がっていくと、そこには彼女の彼氏、ハリウッドの大物スターが突然に来ていて、ウィルはすごすごと帰るはめに。くわえて、友人たちがみな、最初からゴシップ新聞でアナに彼氏がいるのを知っていた、と聞いて、ウィルはさらに落ち込む。
友人たちが彼にいろいろな女性を紹介するが、彼はアナが忘れられない。ところが、アナが突然またウィルの家にやってきた。昔のヌード写真が出回り、悪名高い英国のゴシップ記者たちに追われて行き場が無い、と言う。そして、そのままアナは泊まることになり、ウィルがソファで寝ていたところに、アナが降りてきて、二人で朝を迎えることに。
映画
2018.03.15
2018.05.12
2018.08.29
2018.12.07
2018.12.14
2019.06.08
2020.01.25
2021.05.03
2023.02.17
大阪芸術大学 哲学教授
美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。