サービスをタイプに分類してみると、差別化のポイントや努力の仕方を明確にすることができます。自社のサービスのタイプと、努力ポイントが合致しているか、いまいちど見つめ直してみましょう。
サービスの全体像を掴むために、前回、世の中のサービスをメニューの観点で「分類」してみました。すると、たった21種類の基本サービスメニューに分類でき、更にそれらは3つの大分類に集約でき、意外とシンプルに整理ができました。そしてサービスメニューの21分類を活用すると、サービスメニューの観点で他社との違いを明らかにできて、差別化のポイントを見出すことができました。
そこで今回は、サービスメニューの3大分類に着目をしてみたいと思います。これら3大分類を重ねてみると、とても興味深い気づきが得られましたので、それに触れながら、サービスの付加価値向上のヒントを掴んでみたいと思います。
サービスメニューの3大分類を重ねてみる
サービスメニューは3つの大分類「モノ提供サービス」「情報提供サービス」「快適提供サービス」に集約されることが分かりました。分かりやすいように「農業」を当てはめてみます。
・一般的な農家は作った野菜を農協に納めて収入を得ています。これは、野菜というモノを提供するサービスという見方ができるので、サービスメニュー3大分類の中の、「モノ提供サービス」といえます。
・都会近郊の農家では、秋になると旅行会社とタイアップして芋掘りツアーを企画します。これは、芋という「モノ提供サービス」の要素に、芋堀りの楽しさという「快適提供サービス」の要素が加わったサービスだといえます。
・続いては最近流行りの、季節の野菜便。無農薬有機野菜が季節ごとに産地直送で自宅に送られてくるサービスです。これは、野菜という「モノ提供サービス」の要素に、無農薬からくる安心・安全や、有機野菜のおいしさ、今回届く野菜を楽しみに待つワクワク感といった「快適提供サービス」の要素が加わっています。更には、最近では届いた段ボールを開けると、農家の方の顔写真付きのお手紙や、珍しい野菜を美味しく食べるためのレシピなどが入っています。つまり「情報提供サービス」の要素も上手に取り組んでいるといえます。このように、季節の野菜便は「モノ提供サービス」「情報提供サービス」「快適提供サービス」の3つの要素をバランスよく取り入れたサービスです。
その結果、あるデータでは、純粋な「モノ提供サービス」をしている農家の場合と、季節の野菜便に取り組んでいる農家とで、大根1本当たりの農家の収入が約10倍違うと言われています。つまり、「モノ提供サービス」「情報提供サービス」「快適提供サービス」の3つの要素をバランスよく取り組むことで、付加価値を高めることができるのです。
service scientist's journal(サービスサイエンティストジャーナル)
2017.04.04
2017.04.11
2017.04.18
2017.04.25
2017.05.02
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2017.05.16
2017.05.23
2017.05.30
松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新