事業成長のポイントを意識してサービス向上に取り組むのと、ただ闇雲に取り組むのとでは、成果に大きな差がつきます。お客様に喜んでいただくことのその先に、事業成長に繋がる成果を見据えた組み立てをすることが大切です。
前回から、CS向上を経営貢献に繋げるための4つのポイントについて紹介してきました。今回は4つのポイントの中の3つ目「サービスを再度受けたいと思っていただくこと」について触れてみたいと思います。
「リピート」と聞くと、「わが社は一生に一度しか利用しないお客様が多いから関係ないのでは?」「お客様のリピートはだいぶ先なのでピンとこない。」と仰る方もいます。一生に一度しか利用しないサービス、リピートは何十年も先になるサービスはたくさんあります。これらのサービスにおいて、リピートは本当に関係のないものなのでしょうか。実は「リピート」とひとことで言っても、様々なタイプがあります。「リピートはうちには関係ない」と切り捨てる前に、価値あるリピートのタイプを掴んでおくことが大切です。
リピートには種類がある
リピートの中で最もポピュラーなのが、何度も同じサービスや製品を利用していただくというものです。例えば、「いつも同じお店を利用する」「いつも同じものを注文する」といった具合に、リピーターや常連さんは、このタイプのリピートをしてくださるお客様が多いと言えます。「うちは一生に一度しか利用しないお客様ばかりだから、リピートは関係ない」というのは、このタイプのリピートについて仰っているのだと思います。
しかしリピートには、他にもこんなものがあります。
例えばウエディングサービスの場合、初回打ち合わせを終えたお客様が、2回目の打ち合わせにも来てくれるかどうかは、サービス利用を決めて頂くうえで極めて重要なポイントです。つまり、初回打ち合わせの満足度が高くなければ、他社に決められてしまうかもしれないということです。このように、一生に一度のサービスであっても、いくつかのサービスプロセスで成り立っています。特に、プロセスの切れ目でお客様を失ってしまったり、満足度が下がってしまう恐れのあるサービスにおいては、「次のプロセスも我々を選んでいただく」という意味で、プロセスリピートが極めて重要です。サービスの利用を決めていただいたり、一生に一度の機会に選ばれ続けるサービスを実現するために、プロセスリピートを実現したいものです。
また、もう少し大きな視点でのリピートもあります。それは、「別のサービスを利用する時も是非このブランドで決めたい」と思っていただくブランドリピートです。例えば一生に一度のお買い物の場合、販売サービスへのリピートは何十年も先か、もしかしたら二度とないかもしれません。しかし、購入した後には、メンテナンスや保管、もしかすると買い替えや貸し出しも考えられるかもしれません。その際に、販売サービスの満足度が極めて高ければ、別のサービスも同じブランドで決めてくれる可能性が高まります。また、メンテナンスサービスの満足度が高ければ、そこからお付き合いが始まったお客様が買い替えを考えるときに販売サービスの窓口に相談を持ち掛けてくれるかもしれません。このように、販売事業やメンテナンス事業といった事業単体で見ていては見過ごされてしまいがちなのがブランドリピートです。
service scientist's journal(サービスサイエンティストジャーナル)
2017.05.02
2017.05.09
2017.05.16
2017.05.23
2017.05.30
2017.06.06
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2017.06.20
2017.06.27
松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新