サービス向上の事業成長モデル (3) 【連載サービスサイエンス:第33回】

画像: Ninara

2017.06.06

経営・マネジメント

サービス向上の事業成長モデル (3) 【連載サービスサイエンス:第33回】

松井 拓己
松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト

事業成長のポイントを意識してサービス向上に取り組むのと、ただ闇雲に取り組むのとでは、成果に大きな差がつきます。お客様に喜んでいただくことのその先に、事業成長に繋がる成果を見据えた組み立てをすることが大切です。

CS向上を経営貢献に繋げるための4つのポイントとして、前回はリピートの種類やCSとリピートの関係性についてひも解いてみました。そこで今回は、最後の「サービスを誰かに勧めたいと思っていただくこと」についてと、CS向上を経営貢献に繋げるための方法論について触れてみたいと思います。

リピートとオススメは別物

他社推奨や顧客紹介と聞くと、少し馴染みのない企業もあるかもしれません。例えば法人向けサービス会社の場合、あえてこの観点で議論や取り組みをしていないかもしれません。しかし、このテーマに馴染みのない業界や企業ほど、この観点で取り組みをしてみると、今までにないアイデアが出てきたり、他社に差を付けるきっかけになることが実に多いものです。是非一度議論してみて頂くと価値があると思います。

さて、「サービスを誰かに勧めたいと思っていただくこと」これは、リピーターやファンのお客様に、リピートしていただくだけでなく、次のお客様を連れてきていただこうというものです。これは、もちろん簡単ではありません。「紹介してくれませんか」とお願いしたり、紹介カードを渡すだけでは、大事な友人やビジネスパートナーにお勧めしようと思いません。前回触れたように、リピートしていただくためには大満足あるのみなのですが、お勧めしていただくためには、「大満足」だけではダメだということになります。ではどうすれば良いのでしょうか。

それは、大満足に加えて、「面白さ」や「驚き」「友人に対して鼻が高い(優越感)」などの付加要素が必要です。

例えば外食店で、あえて料理が器からはみ出すように迫力ある盛り付けをしたところ、それが話題になってお客さんがお客さんを連れてきてくれるようになったという具合です。法人向けサービスでは、クライアントがサービスを利用して出した成果を、自慢したくなるような資料に仕立てたことで、社内の他部署や業界内の他社を紹介していただくきっかけになったという事例もあります。

最近は、クチコミサイトやソーシャルメディアが普及したことで、不特定多数へクチコミ情報を発信しやすい状況になりました。このクチコミは、大切な友人を紹介するというほどのものではありませんが、クチコミ情報を見ることで、1つ目のステップである「サービスを受けたい」と思っていただけるお客様が増やせる可能性は大いにあります。

リピートと他者推奨は別物である点を踏まえた上で、お勧めしたいと思っていただくことをテーマに取り組みをしてみる価値はあると思います。

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松井 拓己

松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト

サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。           代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新

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