サービスをタイプに分類してみると、差別化のポイントや努力の仕方を明確にすることができます。自社のサービスのタイプと、努力ポイントが合致しているか、いまいちど見つめ直してみましょう。
全ての産業でサービスが競争優位そのものになりました。しかし、サービスは目に見えないものなので、サービスで競争優位を築いくために、一体何から手を付けたら良いのか分からない。そんな悩みを持つ方が増えています。今回から数回にわたって、サービスを「分類」することで、サービスの全体像や差別化のポイントを明らかにしてみたいと思います。まず今回は、サービスの全体像を掴むために、世の中のサービスをサービスメニューの観点で分類してみた結果をご紹介したいと思います。
世の中にあるサービスを分類して全体像を整理する
経済産業省関連のホームページにある日本のサービス業をまとめた資料を元に、約450種類のサービスを分類する検討を行った結果、仮説として、世の中にあるサービスはたった21種類の基本サービスメニューに分類できることが分かりました。
1.作ったモノを提供する
2.食事や飲み物を提供する
3.モノを届ける
4.モノを貸し出す
5. 宿泊・作業場所を提供する
6. 価値ある情報を提供する
7. 知りたいことを教える
8.いろいろなことを相談する
9.必要な情報を広告する
10.代わりに設計する
11.安心を提供する12.所有物を修理する
13.仲間の利益を守る
14.移動を支援する
15.ゴミを処分する
16.モノを預かる
17.要求を手配する
18.娯楽を提供する
19.人生をガイドする
20.自己実現を支援する
21.能力向上を支援する
例えば、フレンチレストランや日本料理店、カフェといったサービスは全て「2.食事や飲み物を提供する」という基本サービスメニューに分類されます。また、テーマパークやイベント業は「18.娯楽を提供する」。鉄道やバスやタクシー会社は「14.移動を支援する」。といった具合で、21種類の基本サービスメニューに分類されました。そして興味深いことに、製造業や農業も「作ったモノを提供する」サービスメニューに分類することができるのです。このように当てはめてみると、ほぼ全ての産業を、サービスメニュー分類で表現することができそうだと分かりました。「すべての産業はサービス業である」と捉え直してみると、昨今のサービス競争が激化していることは納得できます。すべての産業において、サービスは競争優位そのものになってきているのです。
さらにこれら21種類を分類していくと、大きく3つの基本サービスメニューに分類されます。それは、「モノ提供サービス」、「情報提供サービス」、「快適提供サービス」の3つです。ただし、「快適提供サービス」には所属するメニュー分類が多いので、中分類として「安心の提供」「楽(らく・たのしさ)の提供」「自己実現」に分かれています。
service scientist's journal(サービスサイエンティストジャーナル)
2017.03.28
2017.04.04
2017.04.11
2017.04.18
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2017.05.23
松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新