14歳から大人まで 生きることの根っこをかんがえる『ふだんの哲学』シリーズ 〈第7章|意志・こころ〉第2話
ものごとをどうとらえるかというのは、言葉を変えると、ものごとをどう解釈するか、どんな見解を持つかです。さらにもう一歩深く考えて、それら解釈や見解はなにの影響を受けているかというと、それは信念や価値観です。信念とは自分の心に持つ「こうあるべきだ・こうすべきだ」という考えの軸です。価値観とは「これはよい・これはわるい」と判断するときの考えの地盤になるものです。
信念・価値観は、心のなかにいる「もう一人の自分」と考えることもできます。なにかの出来事に対し、それをどう解釈したらいいか、どんな見解を持ったらいいか「現実の自分」が迷っているとき、信念・価値観という「もう一人の自分」が、「こうあるべきなんじゃないか」「また別のこういう考え方だってあるよ」と声をかけてくるのです。そうして「もう一人の自分」と「現実の自分」とで何度も話し合いをする。そして自分の解釈や見解を決めていきます。きょうの設問3つを考えたときも、あなたは知らずのうちに、心のなかの「もう一人の自分」と話し合いをしていたのではないでしょうか。
まさにいまあなたは、日々いろいろなことを勉強し、見聞し、成長しています。その過程で成功したり失敗したり、人から信頼されたり裏切られたりしながら、信念や価値観をつくっていきます。いわば、心のなかの「もう一人の自分」がどんどん育っているのです。
よりよく生きていくうえで、もちろん知識や技術は大事です。性格や健康も大事です。それと同じように、信念や価値観も大事です。信念・価値観のもとに、知識や技術、性格、健康が生かされたり、生かされなかったりするからです。
〈答案例〉
(1)
・完璧な人間などいない。キャプテンだってミスをすることはある。
・今後、大会は何回でもある。活躍するチャンスはある。
・負けたことによって学んだこともある。それを次に生かせばよい。
(2)
・人は多くから愛されるにこしたことはないが、
少数から愛されることでもべつにかまわない。
・人の魅力は、人気によってすべて測られるものではない。
・友人の少なさが人生のさみしさにつながっているとはいえない。
軽い付き合いの友だちを増やすより、
深く付き合える親友を一人でも二人でも持てればよい。
(3)
・運命は変えられないわけではない。
(歴史上の偉人たちの多くは運命を変えていった人たちだ)
・お金がなくても大学に進学している人たちはいる。
彼らはどうやって入学したのだろう。
なにかよい方法があるにちがい ない。調べてみよう。
・自分がこういう家庭に生まれたことには、なにか意味があるのかもしれない。
[文:村山 昇|イラスト:サカイシヤスシ]
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キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。