美味いビールとICタグ ~アサヒビールでの活用事例~

2009.11.21

経営・マネジメント

美味いビールとICタグ ~アサヒビールでの活用事例~

三宅 信一郎
株式会社BFCコンサルティング 代表取締役

今回は、ビール工場で活用されているRFID現地レポートです。  今回のアサヒビール茨城工場の事例には、「あー、これは上手く使ってるな―! うまいのはビールだけじゃないなー」と感心しました。

◆物流で使うパレットや再利用する物流容器、プラスティック製のカ
ゴなどを効率よく管理し有効活用することによって、CO2削減を狙う
というのが目的です。

◆このガスボンベは、業務用のボンベであり、レストランなどの飲食
店、居酒屋などにビールを充てん後配送されます。 同じようなもの
に、金属製の樽があるのですが、樽に比べてこのボンベの減耗率(紛
失や盗難など)が大変高い
のだそうです。

◆このボンベは、水槽などへ酸素を供給するボンベとしても使えるた
め、人気があり、盗難にあいやすく、インターネットなどで度々不当
に転売されることがあるそうです。 

◆寿命が来たものの補充も含め、アサヒビールは一本約約2万円する
このボンベを、年間何と9000本(約1.8億円)も新規購入しており、課
題は、ボンベ個品ごとの貸出状況の管理強化と入出荷業務の効率化
した。

◆今までは、安全面の法的規定により、ボンベに打刻された個別の管
理番号を、出荷・入荷時に作業員が目視でひとつひとつ確認し、手書
きで伝票に記入して管理
していました。 記入間違いも多くあり、ま
た作業員が費やす作業時間も長時間かかっていました。

◆RFIDを導入してから、30本のボンベのIDを読み取って記録する作業
時間が、今まで1本に付き約30秒かかっていたのが、3秒にまで短縮
したとのことでした。

◆ひとつのパレットに30本積載されているので、1パレットに付き、
約14分の作業時間の削減が出来、複数個所で合計一日約100回の読み取
り作業を行うので、工場全体としては一日当たり約23時間もの作業時
間削減効果
がでています。

◆それと、手入力に比べて読み取り精度が格段に上がったという報告
もありました。 作業員の方の評判もとてもよく、今さら手入力によ
る作業に戻ることは考えられないということでした。

◆入出庫検品作業の効率化だけではなく、ボンベがどの配送先でどれ
だけ滞留して帰ってきたかというサイクルの履歴を取ることも始めて
います。 

◆このようにRFIDを利用したデータ管理を行うことで、ボンベのライ
フサイクルや貸出管理が高度化され、無駄な追加発注や、寿命の見誤
まり、紛失などの削減を結果的に実現
し、トータルなオペレーション
の効率化・コスト削減や時間短縮に大きく寄与
する結果となっていま
す。

◆担当の方は、近い将来 EPCという世界標準のRFID専用コードに移行
することで、他のビール会社とともにビール業界標準化を目指してい
きたいという目標を語ってくれました。

次のページRFIDという個体認識技術

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三宅 信一郎

株式会社BFCコンサルティング 代表取締役

事業力強化・新規事業開発・創業支援コンサルタント 自動認識基本技術者 (JAISA:(社)日本自動認識システム協会)認定

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