日清・日露戦争を舞台とした、かの有名な歴史小説「坂の上の雲」 (司馬遼太郎著)がドラマ化されました。 この偉大なる歴史小説には、現代のビジネスマンが学ぶべき、マネジメントの原理・原則が随所にちりばめられています。 「坂の上の雲」は、いわば、「マネジメント教本」と言えます。 この教本から学べるマネジメントの原理・原則のひとつをご紹介し たいと思います。
◆マネジメントを考える際、まず最初に、その企業なり組織が行う
事業や活動とは何かを考えなければなりません。 その事業を定義
し、事業目標に落とし込むことが必要になります。
◆「我が社、あるいは我が事業部の事業は何か? それは何で
あるべきなのか?」という問いに対して明確に答えられない
事業は、その実行過程で迷走し、最終的に成果を上げることはでき
ません。
◆日露戦争開戦当時のロシアは、面積は日本の約50倍、人口も2倍
以上、国家財政に至っては、なんと8倍の規模を誇る、世界の超大
国でありました。
◆明治維新後の当時の日本は、国家近代化路線をやっとよちよち歩
きで歩み始めた状況でした。
◆その日本は、その強大なロシア帝国が、満州や朝鮮半島に飢えた
熊のように南下し、いずれは北海道そのものや、本州の主要港など
日本領土の一部も侵略されるのではないかと想像せしめるに足る、
日本国民そのものの存亡にとって戦慄を覚える極東南下侵略政策に
直面することとなりました。
◆この戦争を「事業」と捉える(多くの人命を奪った戦争を事業と
同列に論じることは、お叱りを受けるかもしれませんがご容赦下さ
い)と、日本とロシアのその「事業」の定義の差が際立っているこ
とがわかります。
◆その事業目標の両国間の違い、歴代の歴史家が語るように、この
勝敗の明暗を分けた大きな要因のひとつであることに恐らく間違い
はないでしょう。
◆日本にあっては、「この日露戦争は、日本という国家の存亡を決
する、文字通りの生きるか死ぬかの決戦であり、この戦に負けるこ
とは、そのまま日本国の死を意味する」という悲壮な覚悟と決意が
ありました。
◆元老である伊藤博文を始めとする政財界のリーダーから、庶民に
いたるまで、其々言葉は違えど、その決意の共有する部分は同じ思
いで心に抱いていたのでありましょう。
◆1904年(明治37年)2月4日、御前会議で対露決戦を決定した後、
伊藤博文は、貴族院議員であった金子堅太郎に、国力の差を考える
と長続き出来ないこの戦への早期講和を、時の米国大統領ルーズベ
ルトに上申する役割を担うよう申し入れました。
◆その困難さからその申し出を固辞した金子に対して、伊藤は色を
変えて、「この戦争自体に成算はない。 それでも敢えて戦うのは、
祖国日本の安全と存亡を確保するためにやむを得ず行うものである。
もしうまくことが運ばず戦況不利にて、敵軍が日本に押し寄せし時
には、自分も一兵卒となって最前線で戦い、討ち死にをする覚悟で
いる」と言ったそうです。
次のページ「事業目標」
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
ビジネス進化論
2010.02.04
2010.01.19
2010.01.02
2009.12.09
2009.12.08
2009.11.21
2009.10.24
2009.10.11
2009.10.03