自民党崩壊に見る「ゆでガエル現象」の恐怖

2009.10.03

経営・マネジメント

自民党崩壊に見る「ゆでガエル現象」の恐怖

三宅 信一郎
株式会社BFCコンサルティング 代表取締役

「ゆでガエル現象」というものを皆さんはご存知ですか? 何も変わらないと思いこんで現状に甘んじていると、知らない間につかっていたぬるま湯が熱湯になっており、ゆであがって一丁上がりとなってしまう現象のことを言います。

◆この度の衆院選で民主党が圧勝し、野党第一党が議席の過半数を
獲得するという劇的な政権交代が戦後初めて実現しました。

◆一方敗れた自民党は、50年以上に渡り、霞が関官僚と築いてきた
政治システムの舞台もろとも主役の座から一気に引きずりおろされ、
今や党そのものの崩壊の危機が叫ばれているような状況となってい
ます。

◆今、自民党に起こっているこの状況は、まさに「ゆでガエル現象」
であると筆者は思いました。

◆「ゆでガエル現象」とは、「水を入れた鍋にカエルを入れ、ゆっ
くり温度を上げていくと、カエルは飛び出すこともなくゆで上がり、
遂には死んでしまう。 組織や社会の変化に気づかずマンネリのま
まに過ごしていることを喩えている。」と「ゆでガエル現象への警
鐘」中桐有道氏著(工業調査会刊)という本の中で説明されていま
す。

◆自民党も、何もしなかったわけではありません。50年以上に渡
って、日本の高度成長期時代に大きくGDPを伸ばし、日本をGDP世界
第二位の経済大国に成長させるための役割を果たしました。

◆ただ、その間に世の中は、大きく素早く変化してきました。 少
子高齢化の問題、温暖化ガス排出などの環境問題、中国やインドを
先頭に台頭する巨大発展途上国の著しい成長、昨年秋のリーマン・
ショックを契機として始まった世界同時不況など。

◆自民党も、取り巻く環境が大きく変化しているのは、肌で感じ取
っていたに違いありませんが、問題は、その変化に素早く対応する
ことが出来なかったことでした。

◆何故でしょうか? それは、つかっているお湯があまりにも心地
よかったからです。 暖かい湯船の中に居れば安心で、何も変わら
ずそのままお湯を楽しんでいた方が楽なので、自分から鍋から出よ
うとしなかったのです。

◆鍋の外に出ると何が待っているか分かりません。 今よりずっと
冷たいお水が待っているかもしれませんし、寒風吹きすさぶ世界が
待っているかも知れません。 そう考えるとどうしても自分から出
ようという気が失せてしまいます。

◆自民党だけではありません。 人や企業、さらには国家も同じよ
うなものです。 変わらなければいけないと分かっていても、なか
なか自ら変われないのです。 

◆現に、皆さん。 久振りに会った知人と「お変わりありませんか
?」などと挨拶を取り交わすことってよくありませんか? 「えー、
お陰さまで変わりなくやってます」と聞いて、「ほー、それは良か
った」と安心するように、日本人は基本的に変化を嫌うのではない
かと思います。 起源が、刻々と移動する獣を捕獲する狩猟民族と
は違って、農耕民族であったという歴史的DNAも関係あるのかもし
れません。

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三宅 信一郎

株式会社BFCコンサルティング 代表取締役

事業力強化・新規事業開発・創業支援コンサルタント 自動認識基本技術者 (JAISA:(社)日本自動認識システム協会)認定

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