クレイトン・クリステンセンのイノベーション理論、いわゆる「ジョブ理論」は、大企業のイノベーションの戦略策定にとどまらず、私たち個人のブランディング、パフォーマンス向上にも非常に役に立つ概念だ。
クレイトン・クリステンセンのイノベーション理論、いわゆる「ジョブ理論」は、大企業のイノベーションの戦略策定にとどまらず、私たち個人のブランディング、パフォーマンス向上にも非常に役に立つ概念だ。
組織であれ個人であれ、我々は論理的にデータとして存在するニーズを分析し、競合他社との違いを少しでも出しながら、ソリューション(イノベーションと称されることもある)を導き出し、サービスとして提供を続ける。
ところが、クリステンセンは、こうしたデータの活用は大半の企業が行っていることなのだが、画期的なソリューション(クリステンセンの言うイノベーション)を創造するという意味においては、まったく異なる視点が必要になると言い、「企業がイノベーションに費やす予算は加速度的に増えているが、~(中略)~、長期的かつ持続可能な成長を呼び込む根本的なイノベーションにおいてはまったく成果をあげられていない」としている。
また、クリステンセンの著書『イノベーションの解』のなかに、次の記述がある。
「1・2・3・4・5・6…」
「75・28・41・26・38・64…」
この二つの数字の羅列は、どちらが予測可能かと問うているのだが、一見、前者のほうが、次に「7」ではないかと予測がつくと思える。
そして、この前者の数字が抽選機から出てくる宝くじの当選番号だったらどうだろう? 次の数字はまったく予測できない。また、後者が、ある地点からある地点への道路の番号を示しているものだとしたらどうだろう? 地図を見れば、いくつかの選択肢はあるものの予測は可能となる。つまり、結果として表れていることだけを見ていても、それが導き出されたプロセスを把握しないことには、次の「答え」は導き出すことはできないということだ。
クリステンセンは、ここからの教訓として、「プロセスから生じた結果を見ただけでは、そのプロセスに予測可能な結果をもたらす能力があるかどうかは分からない。プロセスそのものを理解しなければならない」としている。
ジョブ理論に学ぶ
こうしたことは、企業では頻繁に起きていることであり、結局間違った予測となっている。
そこで提唱されているのが、ジョブ理論だ。
ジョブ理論におけるジョブとは、「ある特定の状況で顧客がなし遂げたい進歩」と定義されていて、企業や個人が提供するソリューションやサービスは、その商品そのものではなく、顧客がその商品を使って、何かを成し遂げることで、初めて意味を成すものになるということだ。
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