毎年、年末年始というと、「トレンド予測」がつきものだ。今年も例外ではないが、今ほど予測がつけがたい時代もない。コロナの終息も、経済の先行きも不明瞭な中で、確実にできることがひとつある。それは「企業文化の整備」だ。不況時には高い目的意識と結束が会社を救う。経営者/リーダーは、自らの会社が「何のために存在しているのか」「何を大切にしているのか」定義することを最優先課題とすべきだろう。
毎年、年末年始には、「トレンド予測」的記事が数多く見られる。今年も例外ではないが、先行きがこれほどまでに不確かで予測がつけがたい年もない。
しかし、経営者や企業リーダーが、今後に向けて備えるうえで確実にできる/やるべきことがひとつある。会社の文化を整備することだ。社内の文化を育むことは、耐久性の高い組織をつくり、優秀な人材を維持することにつながる。
故トニー・シェイ(元ザッポス社CEO)の言葉にもあるように「企業文化を育めば、『最高の顧客サービス』というブランドを築くことができ、それにふさわしいサービスの提供を実現することができる」。つまり、「成果はおのずとついてくる」ということだ。
生活者が、自分と価値観を同じくする会社から買いたいと思っているということは、パンデミック以前から認識されていたことだった。しかし、パンデミック以降に、この傾向は確実に高まっている。最近の調査によれば、生活者の9割が、企業は従業員や取引先の健全性を最優先すべきだ、と考えているという。そして、生活者の66%が、「会社がどんな企業文化を持っているのか」「どれだけ従業員の健全性を気にかけているか」を、購買意思決定の決め手となる要素としているという。つまり、インターナル・ブランディング(=企業文化/価値観の浸透)が今までにも増して重要になってきているということだ。
高いレベルの従業員エンゲージメントを維持し、価値観重視の生活者を引き付けるためには、企業はその「コア・パーパス(社会的存在意義)」に意識的に沿って一挙一動を遂行すべきだ。つまり、第一歩としては、「会社が何のために存在しているのか」「どんな価値を社会に提供しているのか」を社内外の誰に対しても明らかなように定義すること。そして、その「コア・パーパス」を実装するためのコア・バリューを明確にし、それが全従業員により理解され、組織のすみずみにまで浸透し、企業の商品、サービス、マーケティングやその他すべての活動やタッチポイントに反映されるような「仕組み」を構築すべきだ。
もう既に「コア・パーパス」や「コア・バリュー」を持っている、という会社にとっては、それらを今いちど見直すことが重要になってくるだろう。会社のコア・パーパスとは、現時点で企業が携わっている事業や商品やサービスを超え、新たなイノベーションの原動力となるべきものである。また、自社のコア・バリューが、今めまぐるしく起こっている社会や市場の変化に耐えうるものであるかを再検討すべきだ。
企業文化
2020.12.24
2020.12.25
2020.12.29
2020.12.30
2020.12.31
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2021.01.03
ダイナ・サーチ、インク 代表
ダイナ・サーチ、インク代表 https://www.dyna-search.com/jp/ 一般社団法人コア・バリュー経営協会理事 https://www.corevalue.or.jp/ 南カリフォルニア大学オペレーション・リサーチ学科修士課程修了。米国企業で経験を積んだのち、1982年に日米間のビジネス・コンサルティング会社、ダイナ・サーチ(Dyna-Search, Inc.)をカリフォルニア州ロサンゼルスに設立。米優良企業の研究を通し、日本企業の革新を支援してきた。アメリカのネット通販会社ザッポスや、規模ではなく偉大さを追求する中小企業群スモール・ジャイアンツなどの研究を踏まえ、生活者主体の時代に対応する経営革新手法として「コア・バリュー経営」を提唱。2009年以来、社員も顧客もハッピーで、生産性の高い会社を目指す志の高い経営者を対象に、コンサルティング・執筆・講演・リーダーシップ教育活動を精力的に行っている。主な著書に、『コア・バリュー・リーダーシップ』(PHPエディターズ・グループ)、『アメリカで「小さいのに偉大だ!」といわれる企業のシンプルで強い戦略』(PHP研究所)、『ザッポスの奇跡 改訂版 ~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~』(廣済堂出版)、『未来企業は共に夢を見る ―コア・バリュー経営―』(東京図書出版)などがある。