ミロス・フォアマン『アマデウス』を読み解く

2018.05.12

ライフ・ソーシャル

ミロス・フォアマン『アマデウス』を読み解く

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/天才に嫉妬した凡人、それどころか、神に愛された天才を引きずり倒した凡人の頂点、ということか。だが、このセリフも、あの信頼すべからざる偽悪家のサリエリが言ったとなると、真に受けるのはどうか。守護聖人は、神ではない。むしろ災厄において神へ取りなす者だ。つまり、ザラストロのような、人を神に繋ぐ者を言う。/

守護聖人は、神ではない。むしろ災厄において神へ取りなす者だ。つまり、ザラストロのような、人を神に繋ぐ者を言う。サリエリは、モーツァルトではない。災厄とも言うべき、呪われた凡人だった。だが、凡人には凡人の戦い方、神への仕え方がある。ザラストロに喩えられたモーツァルトの父がモーツァルトに施したこと。それなら、凡人にもできる。生きながらえ、それを続けること、それこそが、彼の受けた「拷問」であり、神に仕える「試練」だった。しかし、それは、あくまで人間の行いであり、やがて至る死の訪れを知らなければならない。あえて映画で省かれた32年。それを知る者だけが、彼の言葉の真意を、そこに読み解くことができる。


by Univ.-Prof.Dr. Teruaki Georges Sumioka. 大阪芸術大学芸術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン。専門は哲学、メディア文化論。最近の活動に 純丘先生の1分哲学vol.1 などがある。)

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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