顧客満足向上(CS向上)は、多くの企業で取り組まれていますが、苦戦していることも多いようです。しかし一方で、顧客満足向上で大きな成果に繋げている企業では、顧客満足やサービスの本質を理解して、組織的なレベルアップに取り組んでいます。そこで今回は、サービスサイエンスの観点で成果を出すための顧客満足の取り組み方を明らかにしてみたいと思います。
しかし、いざ「満たすべき事前期待」について議論してみると、案外難しいものです。そして、今までいかに提供者目線で、お客様不在な議論や取り組みになってしまっていたかに気付かされます。我々が何をしたら良いと思っているかと、お客様が何を期待しているかは、視点が180度違います。この視点をひっくり返すための意識改革も、「満たすべき事前期待」についての議論を通して進めたいものです。
そこで、議論のヒントとして、まずはお客様の問題やニーズを知ることが大切です。これは言うのは簡単ですが、最近はお客様自身が欲しいものが分からない時代になったと言われています。ニーズをお客様に聞いても答えは分からないのです。なので、受け身型や一方的な提案型のスタイルでは、うまくいかず、お客様と問題やニーズを探し出すところからご一緒することが必要になってきています。
もう1つヒントになるのが、競合のサービスレベルを知ることです。これは、競争に勝つためにではなく、お客様の事前期待を知ることが目的です。お客様は、競合のサービスと比較して何らかの事前期待を持ったうえで我々の前に登場します。そこで、お客様が比較対象にしている競合のサービスレベルを我々自身が知らなければ、お客様の期待を知ることができないのです。
このような議論を通して、「満たすべき事前期待」を明確にすることで、組織で一丸となった顧客満足向上を実現していただければと思います。
ただし、組織で一丸となって顧客満足向上に取り組んでも、経営貢献に繋げられるかどうかはまだ分かりません。顧客満足が向上したのに、売上やリピートが増えないと悩んでいる企業が増えているのです。そこで次回は、売上向上やリピートの増加に繋がる顧客満足とは何かを明らかにしたいと思います。
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service scientist's journal(サービスサイエンティストジャーナル)
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松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新