既にサービス品質の向上に取り組んでいる企業は多いようです。しかし現場は、「サービス品質を上げよう!」と言われても、明日から具体的に何を頑張ったら良いのかピンと来ないというのが本音。そこで少しロジカルにサービス品質の向上を考えてみたいと思います。
前回は、効果的にサービス品質向上を進めるために、サービス品質を6つの要素に分解して捉えてみました。「サービス品質向上」と言われても、現場は何を頑張ったら良いのかピンときていないものです。サービス品質向上の取り組みがなかなかうまく進まないときには、要素を分解して議論してみると良いと思います。その上で今回は、より効果的にサービス品質向上を進めていただくための取り組みの視点について触れてみたいと思います。
サービスの評価を高めるサービス品質とは?
サービス品質向上の大きな目的の一つは、お客様からの評価を高めることだと思います。では、そもそもお客様は、サービスの何を評価しているのでしょうか。これを理解できれば、サービスの評価を高めるためのサービス品質向上の取り組み方が見えてきそうです。
そこで、お客様がサービスの何を評価しているのかを理解するために、「サービスの評価」を分解してみましょう。すると、サービスの評価は「サービスの成果」に対する評価と「サービスのプロセス」に対する評価の2つに分解されることが分かりました。ここで言う「サービスの成果」は、たとえばQCD(品質・コスト・納期)や、「早い、安い、うまい」のようなものを指します。一方で「サービスのプロセス」は、スタッフの印象や態度など、成果を得るまでの過程での評価対象となります。
サービスの成果とプロセス、両方の評価を高めるのは当たり前?
お客様から高い評価や高い顧客満足をいただこうと思ったら、サービスの「成果」と「プロセス」の両方の評価を高めなければならなりません。サービスの成果とプロセスの両方の評価を高めることは、一見当たり前のように思います。しかし、いざサービスを提供したり、サービスのマネジメントに従事すると、ついつい「サービスの成果」の方ばかり気にしてしまう傾向があります。
たとえば社内では、「いかにお待たせせずにお客様のご要望にお応するか」、「いかに”早い・安い・うまい”を実現するか」「お客様にどんな提案をすべきか」については日々熱心に議論しています。しかし一方で、「心地よさを感じていただくためにはどうお客様に接したらよいか」、「ちょっとしたお客様からの相談に共感した対応ができるか」など、サービスのプロセスの評価を高めるための努力は、ほとんどが現場任せや個人任せになってしまっており、組織的に取り組めていないことがほとんどです。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
service scientist's journal(サービスサイエンティストジャーナル)
2015.12.10
2015.12.24
2016.01.14
2016.01.28
2016.02.11
2016.02.25
2016.04.22
2016.05.13
2016.06.07
松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新