顧客満足向上(CS向上)は、多くの企業で取り組まれていますが、苦戦していることも多いようです。しかし一方で、顧客満足向上で大きな成果に繋げている企業では、顧客満足やサービスの本質を理解して、組織的なレベルアップに取り組んでいます。そこで今回は、サービスサイエンスの観点で成果を出すための顧客満足の取り組み方を明らかにしてみたいと思います。
たとえば、出張先でたまたま利用した格安のビジネスホテルがとてもキレイで、対応がとても親切、料理は地元の素材にこだわっていて思いもよらない美味しさだったとき、「思わず良いホテルを発見した」「また来よう」「同僚にも勧めよう」と思う、といった具合です。この場合、ホテルを利用する前の事前期待が小さかったのに対し、実際利用してみたら思った以上のサービスで「実績評価」が事前期待を上回ったため、満足を感じたということになります。
逆に、『事前期待よりも実績評価の方が小さいとガッカリされてお客様を失ってしまう。』
たとえば、先ほどのビジネスホテルを、職場の同僚に「出張先で過去最高に良いビジネスホテルを見つけた!」と意気込んで紹介したら、同僚が利用した際の評価がイマイチだった、という具合です。これは、「過去最高のビジネスホテル」と紹介したことで、同僚の事前期待が大きく膨らんでしまったばっかりに、実際は同じサービスを受けたにも関わらず、実績評価が事前期待を越えられなくて、同僚は満足を感じられなかったのです。
それでは、『事前期待と実績評価がほぼイコール』の場合はどうでしょうか。
これは「期待通り」ということにはなりますが、実はこれではダメなのです。これでは印象が薄いので競合他社にお客様を奪われてしまう可能性があるのです。
この定義は、言われてみれば当たり前の内容ですが、実はそのポイントを理解すると、我々のこれまでの活動の進め方が少し筋違いだったかもしれないことに気づきます。
そこで次回は、顧客満足のポイントから、今までの取り組み方のどのあたりが筋違いだったのか?成果に繋がる顧客満足向上の取り組みを進めるためにはどうすべきなのか?について明らかにしたいと思います。
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service scientist's journal(サービスサイエンティストジャーナル)
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松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新