介護スタッフの処遇と業務の改善こそが人手不足解消の鍵(後編1)

画像: Bureau of Land Management

2016.03.30

経営・マネジメント

介護スタッフの処遇と業務の改善こそが人手不足解消の鍵(後編1)

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

「介護離職ゼロ」に不可欠な介護施設増のためには介護スタッフの人手不足の解消が欠かせない。「介護職の処遇改善」はそのための3つの施策群のうち最も基本的なものでありながら、今までないがしろにされてきた側面でもある。

この矛盾した状況を避けるためには、介護制度の中身を工夫するしかない。収入に対する幹部職員を除く労働者の人件費の割合を一定以上に引き上げることと、次に述べるような人事制度を整備することを条件に、介護報酬を上げるのである。

介護施設にはスタッフ全員を悪平等的に扱わせるのではなく、技能・知識を基に格付けし手当を上乗せするような人事・報酬制度を整備させる。もちろん、技能を向上させるための研修制度と方法論(例えば撮影ビデオ画像に基づく分析・改善など)の確立が不可欠だ。

こうすれば介護スタッフにはスキルと知識をさらに磨く頑張り甲斐が生まれ、自分を評価してくれる事業所に定着しやすくなる。

加えて、介護施設側にも収入増への自己努力が求められる。ともすれば断ったり、逆に無償で行ったりしまいがちな、観劇への付き添いや大掃除などの介護保険適用外サービスを正式なメニューとして打ち出し、その対価をきちんと利用者から自己負担でいただく。そしてそれを介護スタッフのさらなる給与アップの源泉とするのだ。

(→後編2へ続く)

(本稿は、雑誌「公明」2016年4月号の特集「長寿社会を支えるために」の記事『深刻な介護の人手不足』解決の可能性を探る)をベースに追記等を行ったものです)

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

「世界的戦略ファームのノウハウ」×「事業会社での事業開発実務」×「身銭での投資・起業経験」。 足掛け38年にわたりプライム上場企業を中心に300近いプロジェクトを主導。                     ✅パスファインダーズ社は大企業・中堅企業向けの事業開発・事業戦略策定にフォーカスした戦略コンサルティング会社。AIとデータサイエンス技術によるDX化を支援する「ADXサービス」を展開中。https://www.pathfinders.co.jp/                 ✅中小企業向けの経営戦略研究会『羅針盤倶楽部』の運営事務局も務めています。https://www.facebook.com/rashimbanclub/     

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