介護スタッフの処遇と業務の改善こそが人手不足解消の鍵(後編2)

画像: BK

2016.04.06

経営・マネジメント

介護スタッフの処遇と業務の改善こそが人手不足解消の鍵(後編2)

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

「介護離職ゼロ」に不可欠な介護施設増のためには介護スタッフの人手不足の解消が欠かせない。「介護職の処遇改善」に並ぶ、そのためのボトルネック解消策として「業務の改善」と「職場の人間関係改善」を挙げたい。

介護スタッフの処遇と業務の改善こそが人手不足解消の鍵(前編)』および『介護スタッフの処遇と業務の改善こそが人手不足解消の鍵(後編1)』より続く

ボトルネック解消策の第2ブロック「業務の改善」は、介護の生産性を大幅に上げるための、担い手の役割分担の見直しと業務の効率化である。決して流れ作業の強化などではない。

幾つかの研究で既に明らかになっているが、介護においては被介護者との信頼感を高めるためのアイコンタクトやソフトタッチなどの人間的触れ合いこそが重要であり、効率化すべきはそれ以外の部分だ。介護サービスは「接客業」であることを肝に銘ずべきなのだ。

関係者の方々はそうしたことを前提に、以下の業務改善方策例を読んで欲しい。いずれもどこかの事業所で取り組んで効果を上げているものなので、積極的に検討いただきたい。

一つ目は、労働環境上一番大きな「夜勤問題」の解決である。「下の世話」などと違って、夜勤が勤務シフトに混じることで引き起こされる体調の崩れや疲労蓄積は、慣れや当人の工夫で何とかなる問題ではない。特に少人数の施設では夜勤の頻度が高く、しかも一人夜勤といった実態が往々にしてあり、やりがいに燃えて就労したスタッフをも挫けさせるキツさなのである。

最も効果的な解決法は、一部のスタッフを夜勤専門とし、残りのスタッフを日中だけの勤務とすることだ。日勤専門になる大半のスタッフからは、一番の悩みがなくなると大歓迎されよう。

夜勤専門のスタッフには高めの給与を支払う必要があり、複数夜勤体制を確立するためには人数を増やす必要が出てくる施設も少なからずあろう。やはりこの体制整備を条件に、介護報酬の水準を底上げすべきだ。

夜勤専門のスタッフを見つけるのが難しい?一人は必ずしも介護士資格がなくても構わないと割り切れば選択肢は広がる。小生のお薦めはシングルマザー家族の住込み採用だ。お子さんが眠っている間に夜勤をこなし、お子さんが学校に出掛けてからぐっすりお休みいただくのだ。お年寄りたちも子供たちと一緒に住むことで元気をもらえる。

二つ目の業務改善はパートタイム・スタッフの積極採用・活用だ。「手離れ組」のかなりの割合は「パートタイムならばやってみてもいい」と考えている可能性が高い。介護事業者は頭を切り替えて、フルタイムと細切れパートタイムの混合シフトにトライして欲しい。

従来の紙ベースのやり方ではシフトを組むのが面倒になるが、今では非常に安価または無料ながら高品質のシフト作成・管理アプリが幾つも出回っている。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。「新規事業の開発・推進」「既存事業の改革」「業務改革」の3つを主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/                  弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashimban/         代表・日沖の最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/

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