14歳から大人まで 生きることの根っこをかんがえる『ふだんの哲学』シリーズ 〈第5章|人生〉第6話
そしてもし努力を重ねて、その新たに目指した山の頂上に立つときがきたなら、かつて自分があこがれた「プロ野球選手になる」という山を遠くになつかしく眺めるでしょう。そして「あぁ、あの山もすばらしいけど、自分が登ったこの山だって、それに負けないくらいすばらしい!」と思うにちがいありません。そのときの充実感こそ、ほんものの勝利の充実感です。
=雄大のその後=
雄大は高校を卒業して造園会社に就職した。理由は、日本一の天然芝のプロになろうと思ったからだ。天然芝は、野球場やサッカー場、ゴルフ場に張られている。日本では人工芝が多くなったとはいえ、格式のある競技場では天然芝が使われる。雄大が入社した造園会社は、その天然芝を生産し、競技場に販売し、管理する事業を行っている。
雄大は思う───「思い返せば、甲子園球場で黙々と芝を刈る人、水をまく人。あの人たちの背中はかっこよかった。いま自分も天然芝をあつかう仕事につき、競技場の芝を最高の状態にすることで選手のプレーを支えたい、名勝負が生まれる環境をつくりたい。選手になる夢はかなわなかったけど、その分の思いを芝に込めて生きていきたい」。
[文:村山 昇/イラスト:サカイシヤスシ]
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14歳から大人まで 生きることの根っこをかんがえる『ふだんの哲学』
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キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。