~ サービスサイエンス的思考法でビジネスモデルを探る ~ 知り合いや会社の人に渡すハワイでのお土産で、皆さん悩んだことはありませんか?当たり前のようにABCストアや免税店でマカデミアナッツを手にしながら、またこれかと思う人も多いかと思います。ところが、最近期待を裏切らないお土産が出てきましたね。
◆久しぶりに訪れたハワイのカラカウア大通りを歩いていますと、
数年前なら日本の女性観光客はほとんど例外なくデューティーフリ
ー・ショッパーズの買い物袋や、マカデミアナッツチョコレートの
大きな箱をいくつもひっさげて闊歩している姿を目にしました。
◆今回は、そうしたものを持っている女性はほとんど見かけず、逆
にホノルル・クッキー・カンパニーのショップの入口と同じ色鮮や
かなライトグリーンのかわいらしいバッグを、幾つも持って歩いて
いる日本人女性を数多く見かけました。
◆興味本位でその店をのぞいてみると、マカダミアナッツ,コナコ
ーヒー,パイナップル,リリコイ,マンゴーといったハワイならで
はのフレーバーで味付けをした、これまたハワイらしいパイナップ
ルの形をした、かわいいクッキーが所狭しと置かれていました。
◆特徴は、試食コーナーがあり、どの種類のクッキーも試食が出来
るという点と、あらかじめ種類ごとに箱詰めされたパッケージだけ
ではなく、好みのクッキーを自分で選んで箱詰め出来るクッキー・
アラカルト・ステーションというサービスがあることです。
◆試食というのは馬鹿に出来ません。 1998年に世に出たこのクッ
キーは、マカデミアナッツチョコレートのハワイアンホストという
ような、誰もが試食することもなく買っていった名の通ったブラン
ドと違って、日本人観光客からするとどんな味がするのか、食べて
みないと分かりません。
◆食べてみるとこれが実においしい。 ここで、「クッキーは美味
しくあってほしい」という「共通的な事前期待」をクリアーします。
次に、種類が豊富なので、色々と自分なりに選びたいという「個別
的な事前期待」がユーザーには芽生えます。
◆例えば、自分用あるいは親しい友人の土産には色々な種類を買っ
て帰りたい、会社用の土産には既成の詰め合わせでいい、というよ
うな「個別的な事前期待」を、多くの選択肢を提供することで、満
足させてしまうのです。
◆また、クッキーひとつひとつが個別に包装されており、しかも軽
いので、職場でのバラマキ土産に最適と考えるユーザーも出るでし
ょう。 このように日本人観光客が持っていた「個別的な事前期待」
を十分満足させたことが、この店を繁盛させている本質的な理由の
ひとつと考えられます。
◆このクッキー店は、実績評価が事前期待を上回る、それも大きく
上回っているので、顧客がリピート化していきます。 実際、ネッ
トでの口コミ評価を見ると「次回はもっと買い占めたい!」とか、
「職場土産に最適。次回も必ずお土産にしたい」という書き込みが
たくさんありました。
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