~ サービスサイエンス的思考法でビジネスモデルを探る ~
◆どの企業も、自分たちのコアビジネスとして
売りたいものというものがあって、それを何とか
売ろうとして日々躍起になっています。
◆だが、その売りたいものの品質や価格などに特に
問題がないのに、昨今のように売れ行きが伸びない
時や、売ろうとすればするほど売れないといった時を
迎えたときに、どうするか?
◆その時に大事なのが、逆転の発想です。
たとえば車を売りたいのであれば、車を売り込むな
ということです。
◆スクラップを整理していたら、1年以上前の日経
朝刊に興味深い記事が載っていました。
新車を一台も売らないで利益を出す自動車販売店が
あるそうです。
普通は、売りやすい新車の販売に力を入れるのが常識
ですが、トヨタ自動車系の販売店はちがいます。
◆ネッツトヨタ神戸は、国内市場縮小のなか、新車
販売に苦戦していました。
そこで、補修・点検サービスや中古車などの新車販売
以外のサービスの充実に軸をおいて、そこに利益の
源泉を求めました。
◆その結果、新車販売以外の利益を固定費で割った
「固定費カバー率」は、全国平均が78%に対して、
120%に迫るようになり、新車販売以外のサービス
だけで十分固定費をカバーすることになりました。
補修・点検サービスの充実が、結果として、新車購入
の顧客の開拓も可能となり、トヨタの中で優良販社と
して表彰を受けるにいたったのです。
◆車の展示台数を極力減らして、余ったスペースを
別なサービスに生かすという逆転の発想をとった
販売店もあります。
◆ネッツテラス尼崎では、展示車をたった一台だけ
とし、余ったスペースには、車検やオイル交換などを
待つ顧客に対する喫茶スペースを設け、待ち時間が
長いサービスを取り込む策をとりました。
さらにすごいのはトヨタ車以外の補修・点検も
取り込み、結果として地域シェアを大きく伸ばし
ました。
◆これらの例は新車販売からいったん視点をはずして、
それ以外に顧客が求めている事前期待を超える
サービスに目を向けて顧客をつなぎ留め、最終的に
新車の販売増を目指すという逆転の発想戦略であります。
◆価格戦略でも、視点を変えて成功した例もあります。
通常、価格戦略は新車販売価格が焦点になります。
◆金融子会社のトヨタファイナンスは、逆に下取り
価格をいかに高くするかに注目しました。
200万件の中古車オークションの取引データを
分析し、下取り価格を平均1割引き上げることに成功。
新車価格と下取り価格の差額を圧縮したローンが好評
となり、そのローンの利用率は3倍になりました。
◆また、IT活用の分野では、カーナビゲーション機能
に逆の発想を用いました。
通常のカーナビは、顧客向けに一方的に渋滞情報などを
一方的に発信しますが、レクサスに搭載されている
カーナビは、顧客からオペレーターに対して発信できる
機能をもちます。
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