モノとモノがインターネットで繋がるIoT (internet of Things :モノのインターネット)によって、世の中が大きく変革しようとしています。 製造業では、ドイツを発信元とする「インダストリー4.0」や米国の「インダストリアル・インターネット」などIoTを活用して、次世代の第四次産業革命が生まれようとしています。
物流の世界も例外ではありません。
IoTがもたらす次世代の物流の姿である「インテリジェント・ロジスティクス」。
それがどういう世界なのか? どんな概念なのか?どんな技術で実現しうるのか?
また、世の中にどんな効果をもたらすのか等 筆者の考えを皆さまにお伝えし、考察して行きたいと思います。
昨今、企業活動において物流の重要性が見直され、「物流は企業戦略である」との認識をお持ちになる企業経営者の方が、業界を問わず多くなってきています。
ここで、「次世代のインテリジェント・ロジスティクス」に入る前に、原点に立ち返って「物流の重要性」について考えてみましょう。
世界中でインターネットが発達し、多くの消費者がインターネットを使ってモノを買う時代になりました。
パソコンやスマホなどで、ほんの数クリックするだけで好みの商品を検索し、注文でき、翌日、場合によっては当日に入手することが可能です。
また、こうしたビジネスモデルの流れに合わせて、以前に比べてモノの供給スピードが格段に速くなりました。
このようなビジネスがその機能を最大限に発揮できるかどうかの根幹を支えているのが、「物流」です。
パソコンやスマホ等によるWebオーダーの利便性が発達しても、自動的にモノが消費者の手元に突然現れることは決してありません。
物流が益々重要視されているのはこのようなビジネス環境の変化が背後にあるからなのです。
「物流史談:物流の歴史に学ぶ人間の知恵」((株)流通研究社刊)という本があります。
著者は、半世紀も前に「物流」という言葉を創出し、日本の荷役運搬業務の近代化のための啓蒙活動をされた物流業界の偉人ともいえる平原直先生(1902-2001)です。
この本によりますと、人間生活と運搬は切っても切れないとあります。
昆虫や動物の一日の大半が「運ぶ」生活であるように、人間の生活もその大半は「運ぶ」生活であるといっています。
また、「働く」という漢字を分解してみると、「人」偏に「重」いと書き、それに「力」を加えると書いてあります。
つまり、睡眠や食事、団らんなどの活動以外で、人間のやっていることの大半は、昔から変わらず、物のかたちを変えることか、物を移動(運搬・荷役)させることだけだというのです。
そう考えると、我が家の家内の生態を物流の視点からじっと観察してみますと、日常ほぼ毎日運搬と荷役といった物流業務しかやっていないと言っても差し支えありません。スーパーに買い物に行き、食材を調達して車という輸送手段で家まで運搬し、車から荷卸しをして台所まで輸送し、所定の荷捌き場にて荷卸しを行う(調達物流)。
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ビジネス進化論
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