エンタテイメント映画の中のスーパーマーケットに「顧客満足の向上」の本質を見た! サービスサイエンス的アプローチを使って、そのビジネスモデルを分析・解説します。
◆のど元過ぎればなんとやらではないですが、昨年は、
中国から輸入した餃子の農薬混入問題で、食品の
安全性が疑問視され、大変大きな社会的問題になった
ことを覚えていますか?
◆有名ブランドの加ト吉やJTといった大手食品会社
の信用問題までに発展しました。
◆忘れた頃に繰り返される食品への偽造、偽装、安全問題。
不二家、ミートホープ、白い恋人、赤福、船場吉兆、伊藤ハム
などなど・・・。
あまりにも多すぎて、一つひとつがどういう問題を
起こして、消費者にどんな被害を及ぼしたのか、
思い出せないくらいです。
◆毎年恒例の京都清水寺の僧侶が書く「今年の漢字」の
2007年版は、情けないことに「偽」でした。
偽装、偽証、偽計の「ギ」だそうです。
◆こういう状況を見ていますと、企業経営において
「顧客志向」、「現場主義」が大事である!
などと昔からよく語られますが、そんなものいったい
どこに行ってしまったのかと思ってしまいます。
◆昨年のある日に、近くのビデオレンタルショップに
行って、故伊丹十三監督の「スーパーの女」という
映画のDVDを借りてきて何年かぶりに改めて観てみました。
◆私がパートナーとして所属しているワクコンサルティング
という先鋭コンサルタント集団の中での研修会で、
「顧客志向とは何か」という本質を学ぶには、この映画は
素晴らしい映画だからぜひ観るといいと先輩コンサルタントに
薦められたからでした。
◆この映画を観て、びっくりしました。
1996年の作品なのでもう10年以上も前に作られた
のですが、そこに描かれているストーリーは、まさに
昨年来から問題になっている食品偽装に真正面から
取り組んで、真の顧客志向を追及するスーパーの物語が
描かれておりました。
◆スーパーの名前は「正直屋」。
宮本信子演じる主人公が、あるとき近隣にオープンした
安売り日本一を歌い文句にする「安売り大魔王」という
後発のスーパーに客を取られてしまい、そこに対抗
するために、幼馴染の社長を支えながら、お店の改革に
着手し、やがて遠のいていたお客を見事取り戻すという
ストーリーが描かれています。
◆主人公が支援を開始したときの正直屋は、名前とは
全く正反対のオペレーションを行っていました。
◆たとえば、業界の常識だといって、前日の売れ残りの
肉や魚をパックし直したり(リパック)、日付を偽装したり、
高級肉に安い肉を交ぜてかさを増してごまかしたりと、
消費者がまさかと思うようなことを平気で行って、
儲けることばかりを優先していました。
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