カスハラへの対処は企業姿勢が問われる

2024.05.16

経営・マネジメント

カスハラへの対処は企業姿勢が問われる

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

カスハラは従業員の精神を蝕む。カスハラを放置すれば企業の存続を脅かすことになる。経営者はしっかりと認識すべきだ。

まず当たり前のこととして、日常的にカスハラの脅威が存在して、その脅威から会社・店が自分を守ってくれないような職場に行きたい従業員はいないので、早晩、離職率は高まる。

(参照:日本労働組合総連合会「カスタマー・ハラスメントに関する調査2022」

この人手不足の世の中で、人の補充はただでさえままならない。ましてや「この会社・店は従業員を守ってくれない」という口コミは今や燎原の火のように速く広まるので、求職者としてはそんなところは敬遠する。いずれ会社・店は回らなくなる。

その過程で職場の生産性は明白に下がる。先の日本労働組合総連合会の調査でもあったように、カスハラによるストレスに晒され続けると、(たとえ辞めなくて我慢していても)従業員は集中力を低下させモチベーションを失うので、職場の生産性低下に直結する。

カスハラ場面に直面した他の顧客は自分たちが後回しになることに苛立つと同時に「従業員が可哀そうで見てられない。あの会社・店ではカスハラを放置するんだ」と雇い主への嫌悪感を覚え、他の会社・店へ乗り換えることを検討しよう。悪評は千里を走る。

そうなる前に(そして法改正を待たずとも)企業は率先して従業員をカスハラから守る姿勢を明らかにしなければならない。さもないと従業員からも顧客からも選ばれなくなってしまうだろう。
Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。「新規事業の開発・推進」「既存事業の改革」「業務改革」の3つを主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/                  弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashimban/         代表・日沖の最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/

フォロー フォローして日沖 博道の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。