​日本は沈没船なのか? その実情と処方箋

2023.10.11

経営・マネジメント

​日本は沈没船なのか? その実情と処方箋

齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

まず、沈没船なのかを読者の皆さんが判断いただく材料(データ)を前半で提示します。 後半は、私が見続けている現場・現実から、私が今の組織が抱える課題を組織と人材の観点から 課題と処方箋を提案しています。 ここから皆さんの日常に小さなチャレンジが生まれたら素敵だと思っています。 まだ諦めていない方が多いことを願っています。

人事制度が個人と組織の成長を阻害しています。

これはチームビルディングを学んでいただけると分かることですが、今の日本の人材も組織もガス欠状態にあります。

つまり自信、自発性、創造性、モチベーションが低く、成長とイノベーションが起こせない状態にあるということです。

この状態の現象面は先のデータが物語っています。

数年前から「心理的安全性」という言葉が一般化してきました。

私の良い方で言うと「職場で本音が言い合える真の信頼関係がある状態」を指しています。

グーグルにおいては、この「心理的安全性があるチームは100%成果を出す」という結論に至っています。

では、日本の職場にそれはあるでしょうか。結論から言えば、ほとんどの職場にそれはありません。

その原因は多岐に渡りますが、大きな原因の一つが個人評価偏重の人事制度です。

日本企業の再生にはマネジメントOSの入れ替えとともにチーム評価に重きを置いた人事制への移行が必須です。

職場リーダーの自チームの課題の中に必ず出てくる「個人商店」という言葉。

自分の事だけしかしないメンバー、協調性が低く助け合い支援し合わないメンバー、部下の手柄を取り上げるリーダーなどなど。なぜこのようなことが横行するのでしょう。

もっと大きな原因は、他者を支援しても評価されないからです。

もちろん人格的に素晴らしい一部の人達は、評価されなくても悩みを聞き、助け合います。

しかし、それが成果に結びついても、支援した側は評価されない。

結果、そのような取り組みはどんどん薄れていく。

チーム創りで最も重要なことはチーム力の創造です。チーム力とは人数分のパフォーマンスを超え人数の何倍もの成果(量と質)、そしてイノベーション創り出すことです。

そして、チーム力の源泉は本気で相互支援、お互いに強みを出し合い弱みを補い合うことで生まれます。

特に日本人の力を飛躍的に引き出すものは「結束力」です。日本人の国民性、人間関係の質(深い信頼関係の有無)が個人やチームの成長や成果に大きな影響を与えます。

これは自明なことなのです。

であるにも関わらず、いまだに評価制度は個人偏重のままです。ナンセンスなことは同じ人事部の機能である研修チームではチームビルディングを推進し、評価制度チームでは旧態依然の個人評価を推し進めている。ブレークとアクセルを同時に踏み続ける。

チームビルディングの導入に投資し、それを学び意気揚々と職場の実践に入る。

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齋藤 秀樹

株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。

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