​日本は沈没船なのか? その実情と処方箋

2023.10.11

経営・マネジメント

​日本は沈没船なのか? その実情と処方箋

齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

まず、沈没船なのかを読者の皆さんが判断いただく材料(データ)を前半で提示します。 後半は、私が見続けている現場・現実から、私が今の組織が抱える課題を組織と人材の観点から 課題と処方箋を提案しています。 ここから皆さんの日常に小さなチャレンジが生まれたら素敵だと思っています。 まだ諦めていない方が多いことを願っています。

2位:自分勝手に仕事を進める人よりも、和を重視する人の方が評価される(75.8%)

3位:社内では波風を立てないことが何よりも重視される(75.1%)

数年前によく聞かれた「忖度」「同調圧力」という言葉が脳裏をよぎる。

【問3:あなたは仕事を選ぶうえで重視することは何ですか】

日本のTOP3

1位:希望する収入が得られること(14か国共通)

2位:職場の人間関係が良いこと

3位:休みが取れる/取りやすいこと

【問4:転職した理由は何ですか】

日本のTOP3

1位:給料に不満がある

2位:人間関係がうまくいかない

3位:会社の将来性が不安

このデータに日本の国民性を垣間見ることができる。注目すべきは問3、問4の2位。

両方共に人間関係が仕事選び、離職の重要な要素になっている。

日本人なら当然だと思う。

しかし、他の13か国でランキングの上位に人間関係を挙げた国は1つもない。参考までに「職場の人間関係が良いこと」の日本以外の最高位はフィリピン6位、

「人間関係がうまくいかない」の最高位は韓国10位。

ここから日本人が過度に人間関係の良好さや他人の目を気にする国民性が強いことに気づく。

私は20年以上日本の組織を見続けてきました。その結論の一つが、信頼関係の強さが組織のパフォーマンスに直結するということです。

これはグーグルが発表した「心理的安全性」があればチームは100%高い成果を出すという結論と近いものです。

ところが今の日本の実情は「他人に興味のない人」が激増し、私の経験則では、組織メンバーの実感としての信頼関係がある職場は全体の2割にすぎません。

日本人の強みは結束力です。残念ながら信頼がない職場にはそれがありません。結果、「個人は優秀、組織は無能」、チーム力0の単なる集団になります。

これも沈没船日本の大きな要因の一つだと考えています。

【問5:あなたは自分の成長を目的として行っている職場以外での学習や自己啓発についてお知らせください】

これは自分のお金と時間を使って自己投資しているかを聞いている問です。

結論だけお伝えします。

「読書をしている」「セミナー等に参加している」「資格取得の学習をしている」「副業をしている」すべて問いの回答が14か国中最下位。

そして「とくに何も行っていない」だけが14か国中ダントツの1位となっている。

参考までに主な数値は1位のベトナムが2%、13位のニュージーランド22.1%、日本は46.3%。約半数が自己投資を行っていないことが分かる。

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齋藤 秀樹

株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。

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