最近サービスモデルの構築や強化、革新に取り組む企業が増えています。サービスモデルとはいったい何なのでしょうか。ビジネスモデルとの違いと共に理解してみたいと思います。
事業戦略やビジネスモデル、ブランディングやパーパスについて熱心に学び、取り組んでいる企業がたくさんある一方で、「サービスモデル」への着目は‶これから〟のようです。先進的な企業では、ビジネスモデルや事業戦略は他社にすぐに真似されてしまうため、継続的な事業成長や競争力強化のために、サービスモデルの構築・強化へと取り組みがシフトしています。ところでサービスモデルは、ビジネスモデルといったい何が違うのでしょう。
ビジネスモデルは、端的に言えば「いかに儲けるか」についてのプランが描かれた設計図。その主語は、事業者つまり我々自身です。それに対してサービスモデルは、主語が顧客と事業者の両者で、「いかに価値を共創するか」について設計したものといえます。
サービスモデルの構成要素を大まかに捉えると、次のようになります。
・共創する価値は何か:その目標地点を示す「事前期待の的」を設計します。サービスの定義に立ち返ると、提供者が発揮した機能の中で顧客の事前期待に適合するもののみをサービスというため、サービスの価値は「事前期待の的」の設計によってガラリと変わるからです。
・どのように共創するか:顧客との価値共創の仕方を「サービスプロセスモデル」として設計します。サービスのメニュー開発や機能開発に熱心な企業は多い一方で、価値を共創するためのサービスプロセスの設計は、個人や現場に任せきりで手薄になっています。事業として価値共創を実現しようと思ったら、サービスプロセスこそ設計しなければなりません。
・どのように価値を進化させるか:顧客からの「フィードバック」を捉えて、組織的な「サービス進化活動」を設計します。VoC活動やCS調査といった形で顧客からのフィードバックを集めている企業は多いですが、情報を集めっぱなしになっており、それらをうまくサービスの進化に結びつけることができていません。組織的にサービスを進化させるための取り組みを仕立て直す必要があります。
・価値共創をどうやって持続するか:価値共創から生みだされる「波及効果」を見据え、「事業マネジメントのしくみ」を設計します。サービスモデルの実践・運用を現場任せにするのでは価値共創は持続できません。サービス経営の成長戦略の主軸として経営・マネジメントが積極的に関与することが欠かせないのです。
これらをサービスモデルとして構築して、顧客との価値共創をロジカルかつ組織的に実践していくのです。
service scientist's journal(サービスサイエンティストジャーナル)
2023.03.07
2023.03.13
2023.04.03
2023.03.27
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2023.05.05
松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新