政策担当者は「できない理由」を並べ立てるのではなく、「できることは何か」に知恵を絞って欲しい。現場は「今のやり方、今の体制では『とても無理』」と言っているのだ。「ならばやり方と体制を変えればよいのではないか」と頭を切り替えて欲しい。
https://www.yamanashi.ac.jp/about/25210
https://toyokeizai.net/articles/-/349413?page=3
ではなぜそれが実現していないのか。端的に言って厚労省が自分の縄張りの中(地方衛生研究所と保健所)だけで解決しようとして、大学を管轄する文科省などに助けを求めないからだ。そして政府首脳は縄張り意識にとらわれた厚労省に丸投げするだけで、省庁の枠を超えてオールジャパンで対処するように指示しないからだ。日本の最も醜悪な側面がこの大事な局面で足かせになって、国民の命と暮らしを危機に追い込んでいる。呆れるばかりだ。
他にも大きなボトルネックがあるかもしれないが、一般に公表されている情報に基づくと以上の三つが最大のものと判断できる。また、仮にこれらのボトルネックを解消することができたら、別の工程にボトルネックが移るので、その次のボトルネックを解消する必要がある。そうしたことを繰り返すうちに全体の処理能力(スループット)は大幅に改善される。
3.現場を見渡すことができる司令塔を決める
新型コロナ対策にはPCR検査拡充以外にも課題が山積している。そして未曽有の事態においては誰も絶対的な正解は分からないので、その優先度やその反作用の可能性について目先では色んな見方が成り立ってしまう。議論百出して結論が出ない、または迷走してしまいかねない。
こんな時に必要なのは、現場の情報を集めた上で広い視野を保って全体最適のための整合的な判断を下すことができる、頼りになる司令塔の存在だ。当然ながら絶大な権限を与えられる必要がある。
その人がいつも冷静沈着な判断をできること、かつ無私の心で事態に対処しようとしていることを誰も疑わないような「信頼」があれば、その人が下した判断に、(仮に元々の意見が違っても)「あの人がそういうのなら」と皆が従うことができる。それが結局は皆の力を結集することになるため、成功の確率は圧倒的に高まる。
そうした司令塔にふさわしい働きを見せている、台湾の陳建仁副総統や陳時中衛生福利部長(厚生省大臣)や、韓国のチョン・ウンギョン中央防疫対策本部長らの強みは決して専門だからこその知識の豊富さではない(もちろん専門知識も有効だが必須ではない)。
むしろ、混乱し複雑な様相をみせる事態や技術的側面を冷静・丹念に解きほぐす知的体力・耐性があり、疲れて丁寧な説明ができなくなっている専門家に対し適切な質問をして正しく理解できる高い咀嚼能力があり、それを優先度や相手の心理を考えて関係者や市民に自分の言葉で説明できる言語・プレゼン能力があることだ。
そうしたリーダーシップを十二分に発揮できる司令塔人材がこの新型コロナ対策において陣頭指揮を執ってくれることを我々市民は切望している。【追記】
投稿後、すぐに新しい情報が入ったので、5/12、5/14にそれぞれ修正済です。
社会インフラ・制度
2019.06.12
2019.07.25
2020.03.11
2020.04.08
2020.05.10
2020.05.25
2020.11.18
2020.12.16
2021.01.06
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。「新規事業の開発・推進」「既存事業の改革」「業務改革」の3つを主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/ 弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashimban/ 代表・日沖の最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/