政策担当者は「できない理由」を並べ立てるのではなく、「できることは何か」に知恵を絞って欲しい。現場は「今のやり方、今の体制では『とても無理』」と言っているのだ。「ならばやり方と体制を変えればよいのではないか」と頭を切り替えて欲しい。
前回のコラム記事で「日本がコロナ検査に消極的なワケ」というのを書いた。世界の感染専門家の意見や感染抑制に成功している国の事例に背を向けたままでは日本は有効な手を打てない。せめて方向転換のきっかけになればと考えたからだ。
しかし安倍総理の「1日2万人への処理能力アップ宣言」にもかかわらず、現実には相変わらず1万人を大きく下回る程度しかPCR検査は実施されていない。
報道や各都道府県の発表などによると幾つかのボトルネックがあり、検査を担う現場からは「とても無理」という悲鳴が上がっている模様だ。それを聞いた政策担当者たちは「あぁ無理か、じゃあ仕方ない」と考えがちだ。
しかし彼らには今一度、役に立つ方向で頭を使って欲しい。「できない理由」を並べ立てるのではなく、「できることは何か」に知恵を絞って欲しい。現場は「今のやり方、今の体制では『とても無理』」と言っているのだ。「ならばやり方と体制を変えればよいのではないか」と頭を切り替えて欲しい。
現下の事態においては企業でのコンサルティング現場で培われたアプローチが役に立つと考える。それには3つの原則がある。1.ボトルネックを解消することにフォーカスする。2.個々の打ち手はベンチマークも活用し周知を集める。3.現場を見渡すことができる司令塔を決める。以下に1と2を併せて解説し、最後に3を説明したい。
1.ボトルネックを解消することにフォーカスする/2.個々の打ち手はベンチマークも活用し周知を集める
未知のウイルスが世界規模で感染拡大しているといった事態においては、何が優先されるべきか判断に困ってしまうという気持ちはよく理解できる。政府担当者も例えばPCR検査を増やしたいけど「何から手を着けていいか分からない」と右往左往してきたのだろう。
「〇〇がうまく回らない/不足する」といった「問題解決型課題」に対しては、物事のプロセスを見極めて、そのプロセス上のどこで目詰まりを起こしているのかというボトルネックを特定し、その解消を最優先事項として全力を挙げるのが、解決の定石だ。
個々のボトルネックの解消法は一つひとつ異なる。とはいえ全ての方策検討がゼロからのスタートである必要はない。大抵のことには経験者がおり、うまくやっている他者のやり方を学んで取り入れることで(「ベンチマーク」という)、急速なキャッチアップが可能になることがよくある。
とりわけ短期間でPCR検査を増やすことにはお隣・韓国がすでに大成功しており、教えを乞うことは恥でも何でもない。この分野に関しては明らかに韓国のほうが師匠格だ。他国の知恵も拝借しながら周知を集めれば、有効な解決策も見えてくるはずだ。
社会インフラ・制度
2019.06.12
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2020.05.25
2020.11.18
2020.12.16
2021.01.06
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
「世界的戦略ファームのノウハウ」×「事業会社での事業開発実務」×「身銭での投資・起業経験」。 足掛け38年にわたりプライム上場企業を中心に300近いプロジェクトを主導。 ✅パスファインダーズ社は大企業・中堅企業向けの事業開発・事業戦略策定にフォーカスした戦略コンサルティング会社。AIとデータサイエンス技術によるDX化を支援する「ADXサービス」を展開中。https://www.pathfinders.co.jp/ ✅中小企業向けの経営戦略研究会『羅針盤倶楽部』の運営事務局も務めています。https://www.facebook.com/rashimbanclub/
