日本は先進国で唯一、新型コロナウイルス検査の実施に関してずっと消極的だった。その理由が詳しく政府から説明されたことはないが、概ね類推できる。その消極策は、「思い込み」と「工夫の放棄」によってもたらされた「大失策」かも知れない。
上記に挙げた厚労省および感染対策専門家の判断の筋立てはあくまで小生の推論だが、大筋では合っている可能性が高いかと思う。そしてそのロジックは、「個別の感染源を突き止めることをせずとも何とか感染爆発を封じ込めることができ、事態を収拾できる」という超楽観的な見通しの下で正当化されるに過ぎない。
今さらながらだが、やはり主要外国と同様、一定割合の誤判定も許容した上で最初から徹底的に検査をしまくって(そのためには検査機と検査スタッフを大幅に増強する必要がある)、軽症および無症状の感染者は病院ではなく自宅待機または政府が借り上げた宿泊所にて隔離することを早い時期からやるべきだった。その検査で仮に「陰性」が出た人に対しても、「後になって発症することもあるから」と2週間程度の自宅待機を強く薦める(GPSによる位置監視アプリも義務付けて)、といった予防対策は執れたはずだ。
難しいからといって工夫を放棄した結果が、これまでの「検査は最低限必要な場合だけ」「感染が判明したら入院」という「もぐらたたき」式であり、それは本質的に非常にリスキーな判断だったと言わざるを得ない。
この「人智を尽くさず運を天に任せた」消極策の結果、どういう事態がもたらされているか。検査を無理に絞っているがために、冒頭に挙げた有効なウイルス封じ込め対策が採れず、事ここに至っては非常事態宣言の上での実質的な都市封鎖しか感染爆発を抑える有効な手段が残されていない、という事態に追い込まれているのではないか。
危機管理を間違うとどうなるか、東日本大震災時に続けて生じた原発事故で嫌というほど思い知らされたはずなのに、我々とその政府は本当に過去に学んでいるのだろうか。
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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
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