結核という病気を過去のものだと思っていませんか。実は、現在も毎年約2万人が発症し、約2,000人が亡くなっている病気です。
今日、3月24日は「世界結核デー」です。
WHO世界保健機関が1997年の世界保健総会で、毎年3月24日を「世界結核デー(World TB Day)」と定めました。1882年のこの日に、ドイツのロベルト・コッホ博士が結核菌を発見したことを記念しています。
結核という病気を、なんとなく過去のものだと思っていませんか。
確かに明治時代から昭和20年代まで、結核は日本人の死亡原因の第1位を占めていました。その高い死亡率や感染力のために「不治の病」「亡国の病」などとも呼ばれていました。高杉晋作、樋口一葉、石川啄木など若くして亡くなった多くの著名人の死因としてもよく知られています。いくつもの文学作品やジブリ映画などでも「結核サナトリウム」という療養施設が舞台になっています。かつて結核は身近にあって人々をおびやかしていたのです。
しかし、過去の病と侮ってはいけません。現在も毎年約2万人が発症し、約2,000人が亡くなっている病気です。現在の結核は、人が密集している都市部に多く、かつ、70歳以上の高齢者が6割を占めています。高齢者に多いのは、過去に結核菌に感染していても若いうちは発症が抑えられていたものが、歳をとって免疫力が下がるなどの要因で発症するものと考えられています。
一方で、大都市圏などでは20代~40代の発症も目立っています。筆者の身近でも、新入社員の一人が結核を発症したため周辺の社員の検査をしたところ、入社時研修を一緒に受けていた同期数名に感染していたことがありました。発症した当人は入社早々4か月の出勤停止で治療を受けることとなり、感染してはいるものの発症していない同期には発症を抑える薬が投与される事態となりました。
もちろん結核は昔とちがい、早期発見・早期治療により治る病気となっています。大騒ぎの元となった新人くんも今では何事もなかったように元気に働き、良きパパにもなっています。しかし、そもそもどこで感染したのかは不明なままでした。
結核は肺だけでなく、肺以外の臓器が冒されることもあり、腎臓、リンパ節、骨、脳など体のあらゆる部分に影響が及ぶことがある怖い病気です。小学生の頃に結核予防のため、ツベルクリン反応検査とBCG接種を受けたという世代の方もいると思いますが、現在は1歳未満の乳児期にBCG接種をすることになっています。ただし、BCGの効果は10数年と言われていますので、やはり健康診断が大切です。早期発見・早期治療で結核の流行を防ぎましょう。
※結核に関する記述は主に政府広報オンライン「古くて新しい感染症、「結核」にご注意を」、厚生労働省「結核」を参照しました。
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