14歳から大人まで 生きることの根っこをかんがえる『ふだんの哲学』シリーズ 〈第2章|成長〉第1話
図を一つ描いてみましよう。あなたは生きていくうえで、つねに坂に立っていると考えてください。坂の傾斜角度はあなたが直面する問題や挑戦の大きさです。直面する問題や挑戦が大きければ坂はきつい角度になるし、小さければゆるやかな角度になる。
とうぜん、坂に立つあなたには下向きの力がかかる。問題解決や挑戦にともなう困難や危険、わずらわしさ、こわがる心、逃げたい気持ちといったものです。それに対し、あなたは苦労や挑戦を乗り越えていこうという上向きの力をわかすこともできる。
坂を上っていくのはしんどい。けど、鍛えられ、成長できることはわかっている。他方、下るほうはラクです。そして問題や挑戦を避けていった末に自分がどうなってしまうのか、それもわかっている。坂に立ち、あなたは心のなかで、がんばって上にいこうか、それとも、下にころがるにまかせるか、この二つの気持ちの綱引きをやることになる。───さて、どちらを選ぶかです。その選択は、言い換えると、自分の心を鍛えられたアスリートの筋肉のように強いものにしたいか、それとも、陸にあがったクラゲのように弱々しいものにしてもいいのか、という問いでもある。
[文:村山昇|イラスト:サカイシヤスシ]
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キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。