前回は、誰のために・何のために仕事するのかを意識するということについてお話しました。今回は、目標を持つことについてお話します。目標設定をする際、三段階の階層に分類して考えるだけで成長度が変わるのです。
■□■ 三段階の目標を持つ ■□■
1.三段階のサービスについて
目標の話の前に、サービスの三段階について触れておきたいと思います。
【第一段階のサービス】
当然しなければいけない、当たり前の最低限のサービス(マニュアルによるサービスなど)。
【第二段階のサービス】
マニュアルを越えた「気配り」を含んだ、お客様の満足度を高めるサービス。
【第三段階のサービス】
お客様がして欲しいことを先取りして考え、お客様が求めている要望を超えたサービス。
自分の親友や家族に接すると同等以上の気持ちをこめて、お客様に最善の「おもてなし」を行う。
第一段階は、多くのお客様に同じサービスを提供するためにマニュアルによって、繰り返しの行動を提供していくわけですが、第三段階では、お客様お一人おひとりに、個別の心の通ったおもてなしをしていくということです。
『サービス業に限らず、言われたことをやればいいレベルから、ご要望されていることを先取りして考え、要望を超えた「おもてなし」レベルの仕事を目指しましょう。
「ホスピタリティー」という言葉を耳にすることがあると思います。「ホスピタリティー」とは、お互いがいわば「対等」の立場で、思いやりや敬愛の念を持ってできる限りの「おもてなし」をする姿勢。もてなされた側は、尊敬と感謝の念で接し、人間と人間の触れ合いがそこにある状態というわけです。ちなみにホスピタリティーの語源は、ラテン語の「Hospes(旅人をもてなす)」という言葉だそうです。)
2.三段階の目標
本題の目標についてお話ししていきましょう。普通の人は、目標は一つです。できる人には、目標は二つあります。しかし、将来もできる人でいるためには三つ目の目標が必要です。
普通の人の持つ一つ目の目標は、必ずやらなくてはならない「必達の目標」です。最初のうちは、やるべきことをちゃんとやる、という姿勢で着実に必達目標を成し遂げていくことが当然必要です。しかし、ずっとそのままでは、ある日成長のスピードが鈍ったり、止まったりすることになります。
できる人の二つ目の目標とは、一つ目に加え、「期待を超えた」自主的な「努力目標」です。「言われたとおりにやればいい」ではなく、自分の持てる力を最大限に発揮して「もっといいものにできないか」と追求する心です。
そして、将来もずっとできる人には、三つ目の目標があります。「この仕事を通じて自分が何を学び、将来にどう生かすのか」という「成長目標」です。自分自身で明確な「意思を持って」仕事に臨む人のみが、「できる人」でいられるのです。
次のページ■□■ 完成度とスピードのせめぎ合い ■□■
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今野 誠一
株式会社マングローブ 代表取締役社長
組織変革及びその担い手となる管理職の人材開発を強みとする「組織人事コンサルティング会社」を経営。 設立以来15年、組織変革コンサルタント、ファシリテーターとしてこれまでに約600社の組織変革に携わっている。