「約束を守る」ということは、お客様との関係性に限らず、社内の中でも共通して最低限守らなければならないことです。「約束を守る」を細分化すると「時間」「納期」「言ったこと」の3つがあります。仕事ができる人になるためには、先ほどの3つを含め、「決めたことを絶対に守る」ということが大切です。
■□■ 時間を守る ■□■
入社すると「タイムイズマネー」という考え方を、仕事を通じて教え込まれます。取引先とのアポイント、会社の会議の開始時間、何かを届ける約束。どんなことであっても、約束した時間を守ることが、仕事の最低限の基本です。
最初は、緊張感を持って教えを守っていても、次第にルーズになりがちです。その原因は「朱に交われば赤くなる」ことにあります。時間感覚が緩い業界、会社の文化に染まって、遅れるのが当たり前になってしまうということも起こります。しかし、身内ではそれでよくても、信頼関係の必要なビジネスの世界ではそうはいきません。小さな気持ちの緩みから大問題になってしまうこともあるのです。
■□■ 納期を守る ■□■
仕事の「守る」三原則は、「品質を守る・納期を守る・コストを守る」です。この3つのバランスを取ることが、信頼を勝ち得るためにとても重要です。
どんなに品質がよくても、納期を守れず、作るのにお金をかけ過ぎて利益が出せないのでは意味がありません。納期を前倒しで納品できたとしても、「早かろう悪かろう」では、喜んでいただけません。どんなにコストを抑えても、「悪かろう遅かろう」では、誰も買いません。
どれをとっても大切なのですが、現実の仕事で最も多い失敗は、品質にこだわり過ぎ、100点を目指すばかりに納期を守れないことです。これを「完璧主義の呪縛」と言うのですが、100点でなくとも、合格点の品質とコストを保ちつつ、きっちり納期を守るのが、プロの仕事です。
仕事には必ず納期があります。時々、「いつでもいいからやっておいてよ」とか「急がないから……」という言葉つきで先輩や上司から指示される仕事があります。こういう仕事ほど気をつけなければいけません。
仕事のできる人は「いつでもいいから」とか「急いでいない」という仕事ほど、早く仕上げ納品する、という特徴があります。これには3つの理由があります。
①納期のない仕事をそのままにしておくと、まったく着手しないままになってしまう。
②「いつでもいい」という仕事は簡単に見えることが多いが、それを放置すると、最後にはそれが積み重なり、自分を束縛することになってしまう。
③依頼主が単に「いつでもいい」と言っているだけで、期限のない仕事の中に、実は大事な仕事が埋もれていることも少なくない。
仕事の納期には、「顧客に対して納品する最終期限」と、「いついつまでに仕事を仕上げる」という仕事の完了期限の2つがあるわけですが、仕事を早めに細分化して、それぞれに自主的な完了期限を決めて取り組むことがミスや遅れのない仕事をするコツです。
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今野 誠一
株式会社マングローブ 代表取締役社長
組織変革及びその担い手となる管理職の人材開発を強みとする「組織人事コンサルティング会社」を経営。 設立以来15年、組織変革コンサルタント、ファシリテーターとしてこれまでに約600社の組織変革に携わっている。