序章 「きっかけ学」 〜人はなぜ、自ら動き出すのか〜 私は長年、「自立型人材育成」をテーマに、人材開発や組織育成に携わってきた。 研修、面談、メンタリング、コミュニティ、ジョブアサイン。 企業における育成施策を数多く実践しながら、ずっと考えてきたことがある。
序章
「きっかけ学」
〜人はなぜ、自ら動き出すのか〜
私は長年、「自立型人材育成」をテーマに、人材開発や組織育成に携わってきた。
研修、面談、メンタリング、コミュニティ、ジョブアサイン。
企業における育成施策を数多く実践しながら、ずっと考えてきたことがある。
それは、
「なぜ人は主体的に学ぶ人と、そうでない人に分かれるのか」
という問いだった。
どれだけ良い研修を用意しても、自ら吸収し成長する人がいる一方で、同じ環境でも全く動かない人もいる。
逆に、たった一つの経験をきっかけに、急に変わり始める人もいる。
私は以前、
「人事ができることは、“きっかけ”を与えることだけだ」
とよく言っていた。
しかし今思う。
それは少し、軽く考えていたのかもしれない。
なぜなら、
「きっかけを与える」
ということ自体が、想像以上に難しく、深く、人間的な行為だからだ。
そんなことを改めて考えるようになったのは、
90歳近い母との出来事
がきっかけだった。
母は昔からガーデニングが好きだった。
庭いじりをし、花を育てることが日課だった。
しかし年齢とともに、外へ出ることがおっくうになっていった。
体力も落ち、準備も面倒になり、次第に庭に出なくなった。
私は最初、
「また花を植えたら?」
「外に出た方がいいよ」
と声をかけていた。
だが、動かない。
当然だったのかもしれない。
好きだったとしても、“最初の一歩”が重くなっていたのだ。
そこで私は、
* プランターを準備し
* 土を入れ
* 苗を買ってきて
* 「植えるだけ」の状態
を作ってみた。
さらに、
「この花、去年きれいやったな」
「これ育ったら楽しみやな」
と、成長を一緒に話題にした。
すると母は、少しずつまた庭へ出るようになった。
その時、私は大きな気づきを得た。
母は、
「やる気がない」のではなかった。
ガーデニングが嫌いになったわけでもない。
ただ、
“動き出せるきっかけ”
が必要だったのだ。
私はこの出来事を通じて、あることを強く感じた。
これは、人材育成でも同じではないか。
企業ではよく、
* 主体性を持て
* 自ら学べ
* 成長しろ
と言われる。
しかし、人は命令では動かない。
むしろ、
* 不安
* 面倒
* 失敗経験
* 孤独
* 自信喪失
* 意味の不明確さ
によって、“動けない状態”になっていることの方が多い。
つまり本当に重要なのは、
「どう育成するか」
より先に、
「どうすれば人は自然に動き出せるのか」
なのではないか。
私はこの問いを、
「きっかけ学」
と呼ぶことにした。
本書で扱う「富士翔大郎メソッド2.0」は、単なる研修論ではない。
研修だけで人は変わらない。
管理だけでも変わらない。
評価制度だけでも変わらない。
人が変わり始めるには、
* その人に合ったきっかけ
* 小さな成功体験
* 信頼できる対話
* 挑戦できる環境
* 仲間との関係性
* 自分なりの意味
が必要になる。
そしてその後に、
* メンタリング
* 面談
* コミュニティ
* ジョブアサイン
* OJT
* 学習循環
といった支援が生きてくる。
本書では、
「人はどうすれば自ら動き出すのか」
を中心テーマに、
* 自律型人材育成
* メンタリング5.0
* 学習循環
* 組織文化
* AI時代の成長支援
までを統合的に整理していく。
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2010.03.20
2015.12.13
人材育成コンサルタント、シニアインストラクター
● 人材育成、DX・IT、コンサル、マーケの経験を踏まえて、人材教育の新たなアプローチを探求中 明大法なのに齋藤孝ゼミ🤣 教免3種ホルダー イノベーション融合学会専務理事 教育研究家、モノカキの時は、「富士 翔大郎」と言います。天才トム・ショルツの「BOSTON」と「マニュアル車」「海外ドラマ」をこよなく愛する静岡県民
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