CRMの中核機能を成すコールセンターの運営・品質管理は、企業経営においてもっとも重要な課題の1つである。今回は、そのコールセンターに特化したコンサルティングサービスを提供している株式会社エクセプション代表の廣田由章氏に話を伺った。
「一般的なコンサルタントは、すぐに仕組み、数値だけの管理、ITシステムに走る。私がやっているのは、マニュアルのない感覚的なもの。プロデューサーは感性がないとなれない。微細なものをコントロールする必要があるから。」 一般的なコンサルタントは、ログを残こせるシステムを作るとか、オペレーションを数値化することをまず考える。もちろん、廣田氏もKPIを数値化したりするが、それはあくまでも参照するレファレンスに過ぎない。「数値化することは本質ではない。美しいものに理由はないし、まして数値などで表すことはできない。
形のないものは、それを心が反応して、美しいとか悲しいとかを感じる。私はそれを使っているんです。」といい、「私はコンサルタントとしては規格外ですね」と苦笑する。
~ テクニックではなく「考え方」を教える ~
廣田氏は、ワークショップ研修を開催しているが、オペレーターに対しての研修は基本的に受けない。
その背景には、「管理者をしっかり教育して、思想を浸透させていかなければ意味がない。研修は意識を変えるものであって、テクニックを教えるものではない。コールセンターのプロフェッショナルであるべき管理者に研修しないと、継続的な改善などは起こらない」という廣田氏の考えがある。
「最終的には思いやりだと思う」
廣田氏は実際に自分でコールを受けていた経験値を基にしてコーチング手法を開発。「オペレーターはかなりストレスがかかる仕事なんです。上から見た視点では相手の気持ちなど分からない。心理を理解した上でのコーチングが不可欠です。しかしコーチングのテクニックがあるだけではダメ。管理者自身が魅力的になれば、厳しいことをいっても部下は付いてくる。」 オペレーターを指導するのであれば、まず理想的な上司になるよう意識することが必要であり、それが自然と行動に出てくる。このような考えから、廣田氏の研修ではテクニックなどではなく、意識する事や感性的なことを教えている。「コーチングだからこういう風に言いなさいなどとは教えていません。テクニックは時間をかければ手に入るが、高次な意識や洞察力等は時間をかけても手に入れにくいのです。」
廣田氏が5年以上の歳月をかけて創りあげた研修に参加した人は、「今までにこんな研修は受けたことがない」と評する。ワークショップでは、日ごろ考えないことを議論したりして業務からの視点を外しているため、参加者みんなが活性化されていく。そこからコールセンターへの内容へとヒモ付けて、みんなで答えを考え出していくという研修プログラム。内容としては、「上司としての考え方」という思想的なものを中心に、「コールセンターKPIの数値の見方」の指導、「他のコールセンターの事例」などの紹介もしている。面白いものでは、「性別による対処方法の違い」といったことも教え、これによりオペレーターへの指導や顧客からのクレームの対処方法を準備でき、クレームの低減が図れるという。このように、廣田氏の研修では、方法論ではなく、本質的なところ、つまり「考え方」を中心に教えている。
次のページ~ 将来は、学校教育にこのスキームを活かしていきたい ~
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