前回、前々回では、ゆでガエル現象というものとその兆候について書きました。 今回は、その兆候を察知した後、どういう行動論で脱出を試み、進化を続けることが出来るのかについて話してみたいと思います。 そのキーワードは、「共創モデル」です。
◆但し、フィールドで感知したものの中で、記憶に蓄えられるのは、
ほんの一部になりがちです。 従ってすぐメモや写真で残し、なる
べく早く整理することが重要です。
◆それからそのフィールドから上がってきた事象の本質を考える。
そして、それを表現します。 例えば、レポートや企画書にまとめ
るとか、さらには製品・サービスなどに転写していきます。
◆こうしたサイクルを地道に重ねていくと、ある時点を超える、臨
界点を超えるとでも申しましょうか。 今までもやもやしていた霧
のようなものが頭からスーっと消え去って、「これだ!」と開眼し
た境地になります。
◆個人の頭の中で、そういうサイクルが回りに回って、見事な建築
物を残したのが、スペインはバルセロナのサグラダ・ファミリア教
会の建設を指揮した、かの有名なガウディではないかと小生は思い
ます。
◆彼の設計思想は、植物を観察し、植物ほど強い建築構造をもった
ものはいないとして、サグラダ・ファミリアを始めとして、植物の
ような一見奇妙な建物を多数建設していきました。
◆フィールドワークを起点とするこのサイクルで得られたアウトプ
ットは、他の全く違うフィールドでこのサイクルを回している個人
や組織と交わることで、思いも出来ないような価値が生まれるので
す。
◆図で説明すると簡単なんですが、要は、ひとつのフィールドを中
心に、「フィールドワーク:調べる、探る」、「記録する」、「考
察する」、「表現する」といったプロセスが互いに連携しあってお
り、そのサイクルを回す個人あるいは組織の単位といいましょうか、
細胞のようなユニットがあるとイメージしてください。
◆その細胞が、他の別個の単一あるいは複数の細胞と融合し、まる
で、外部からの刺激によって体の細胞の中のシナプスが次々と反応
するように、全く新しいアウトプットが出てくるといった情景が目
に浮かびます。
◆これが、山本氏の提唱する「共創モデル」だと思います。 「競
争」ではなく、「共創」と書くこのモデルは、まるで、ある舞台で
行われる演劇のようなものだと山本氏はおっしゃいます。
◆演劇を演ずるもの同士の共創と、それと顧客との共創が掛け合わ
された結果、演ずるもの同士の一体感、演ずるものと聴衆同士の一
体感が醸成されて、それが最大限の効果を発揮した時のアウトプッ
トが、結果として誰もが忘れられない経験となって記憶に残される
のです。
◆ビジネスもそれと同じなのだと思います。 さて、トヨタとダイ
ハツは、各々の会社の設計・開発担当者や生産現場、営業、マーケ
ティングなどに所属する個人や組織がどのように共創し、どんな素
晴らしいアウトプットを世の中に提示してくるのか?
とても楽しみではありませんか!
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