先日、まさにセミナービジネスが本業な会社のセミナーに行ってきたのですが、非常に面白い質問がありました。そのセミナーは見込み客集めの意味合いで5000円だったのですが、まあセカンドステップは20万円ぐらいでした。学生さんが質問で「高すぎるのでは?」とみんなの前で言ってしまったので、さあ大変という状況になりました。
会場には500人ぐらいいたでしょうか?
私はそういう見込み客集めの意味合いのセミナーに行くと、どういう布石の打ち方をしているのかな、という目線でみます。
5000円のセミナーじゃ儲からないですからね。必ずセカンドステップがあります。その告知も当然あります。
で、実際には、ずっと、そのセカンドステップ20万円の受講をしたほうがいいという布石を打ち続けるようなセミナーでしたけど。
それで、セミナーも終盤に差し掛かり、これぐらいやれば、けっこうコンバージョンが高いだろうなあ、と思って聞いていたところで、学生さんが言ってしまったのです。
「そのセカンドステップのセミナーに行きたいけど、いくらなんでも高すぎます!」と言ってしまった。
これ、セミナー主催者側からすれば、最悪の発言です。
なぜなら、高すぎるという印象を500人の参加者に与えてしまう恐れがあるからですね。参加者側を代表して、私が交渉するなら、「高すぎる」と言いますよ、そりゃね。
ただ、彼は純粋にそう思って言ったところが、またタチが悪いと思いましたけど・・・。
で、講師の方はどうしたか?
叩き潰しに来ました。そりゃ、「価格が高いという印象」は不買理由になりますからね。その芽をつんでおかないと、500人も集客した意味が全くないわけです。
まずはじめに、価格が問題となった時に、王道の質問をしました。
「何と比べて高いとお思いですか?」と。
セミナーのようなカスタム商品は、価格を何と比べていいか?という基準があまりないですよね。
たとえば、大リーグのイチローとご飯を食べられる権利は、いくらかわかりませんよね。イチローのレッスンを受けられる権利もいくらかわかりません。
セミナーのグル、親玉を祭り上げることで、価格の価値を高く見せるのはセミナービジネスでは常識です。
価格の基準値がよくわからんビジネスで、価格が正当であるかのように見せるために、その見込み客を集める5000円のセミナーがあるのですから。
で、学生さんがその時間で主催者側が築き上げたものを打ち砕く「高い!」という主張をしてしまったから、講師の方は、容赦なく、セールストークの伝家の宝刀を抜いたんですね。
でも、その学生さんは、さらに上を行きました。私はこのトークが崩されたのを初めて目の当たりにしました。
「僕の財布の中身と比べて高いです!」と。
私は、思わず笑い出してしまいました。「この学生さん、やるな」と。
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。