~ サービスサイエンス的思考法でビジネスモデルを探る ~ 「顧客満足を向上させる」とよく言われますが、それを実践し、業績に繋げることは容易なことではありません。 特に、一般消費者に日々相対している小売業では、毎日が挑戦となることでしょう。 これからご紹介する事例は、「信頼感」「正直」というキーワードを元に、成長を続けているスーパーの事例です。
◆牛乳なら「明治」ではなく「森永」を、パスタなら「ママー」では
なく、「オーマイ」を、醤油なら「キッコーマン」ではなく
「ヤマサ」をといった具合である。
◆コトラーの競争地位別戦略理論では、2番手のチャレンジャーは、
1番手のリーダーに対抗しようとして、市場占有率拡大、1番手奪回
を狙って、リーダーと差別化をするために思い切った低価格を出して
くることがあるとする。 オーケーはこれをうまく活用して、仕入値
を圧倒的に下げさせている。
◆チラシを打たないために、膨大な広告宣伝費が削減されたことも低
価格に大きな効果を与えている。
◆また、特売をしないことで、売れ行きの波がなくなり、正確な予測
が可能となり、自動発注システムによって在庫が大幅に削減でき、コ
スト負担が少なくなった。 以前は、店単位で発注をかけており、常
時2~3週間分の在庫を保有していた。
◆オーケーでは、人件費、広告・宣伝費、物流費、家賃などの全ての
経費を売上高で割った数字、すなわち総経費率にこだわっている。
ウォルマートやカルフールが大きく成長したのは、この総経費率が
15%を切ったころからだという。 イオンやイトーヨーカ堂は、それ
ぞれ21.1%と24.7%であるのに対して、オーケーは何と14.5%と手本
にしているウォルマートを下回っている。 オーケーの収益構造は、
日本の大手小売とは全く違い、限りなく世界の大手小売のそれに近い
のだ。
◆さらに、信頼を保つ仕組みも存在する。 オーケーでは、「お客様
に得をして頂く」という発想ではなく、「お客様に損をさせない」と
いう点に重きを置く。 というのも、「得する」というのは、そもそ
も何に比べて得か比較しがたく曖昧であるのに対して、「損しない」
というと、他店より高くなければ絶対損することはないと考える。常
に損はしないということを続けることによって、熱烈な信頼感を生み
だす。
◆そのために、常に競合店の価格を調査する専門子会社をもっており、
スーパーでは珍しい地域最安値保証を行っている。
◆また、なぜ特売をしないかというと、お客様との信頼感を維持する
ためである。 特売をやるとなると、「来週の月曜日から値段が下が
るので、今は買わないで」と説明しなければ、お客様に損をさせるこ
とになり、正直ではないし、その間商品は売れなくなってしまう。
◆また、ご意見カードに、お客様に自由に意見を書いてもらって、そ
れを飯田社長は毎翌朝全てに自ら目を通し、必ず数日以内に担当者か
らお客に結果を連絡している。
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ビジネス進化論
2009.10.24
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