~ サービスサイエンス的思考法でビジネスモデルを探る ~ 「顧客満足を向上させる」とよく言われますが、それを実践し、業績に繋げることは容易なことではありません。 特に、一般消費者に日々相対している小売業では、毎日が挑戦となることでしょう。 これからご紹介する事例は、「信頼感」「正直」というキーワードを元に、成長を続けているスーパーの事例です。
◆特徴4.「正直な情報提供」。 オネスト(正直)カードと呼ばれる
カードを店内に張って、そこに普通なら隠すような情報をお客に提供す
る。 たとえば、「このりんごは、触感・歯ごたえが良くないのでお勧
めできません」とか、「このいちごは、最盛期に比べると甘味が薄く美
味しくありません」とか、「メーカーの原材料高騰のため、XX月ZZ日か
ら値上がります。 値上げ前に購入ください」といった情報だ。
◆特徴5.「細かい気配り」。 食肉フロアーに行くと、目につくの
が、トレーの無い、ビニール袋だけで包まれたお肉。 冷蔵庫の中で
かさばらないし、ごみも出ないとお客に好評だ。 また、古い商品に
は、一目で判るように3%割引シールが貼ってあるので、お客はいちい
ち、商品の賞味期限を見る手間が省ける。
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■ お客の心を掴んで離さないその仕組みを読み解く!
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◆社長の飯田氏の父親は、酒問屋を経営していた。 その父親から学
んだ理念は「至誠 天に通ず」というもので、自分や人に欺かず、客
に誠意を持って接していれば、結果は自ずとついてくるという教えで
あった。
◆飯田社長の兄弟の中には、兄は居酒屋「天狗」の経営者、弟に、あ
の日本最大の警備会社セコムの経営者がいる。 皆、この理念を父親
から叩き込まれて育ったという。
◆オーケーストアの経営の原点は、突き詰めていくとこの理念にあり、
そこから分かりやすい標語として降りてきたのが、「高品質・Everyday
Low Price」ということになる。
◆お金儲けの前に、まず「どうすればお客の支持・信頼を得ることが
できるか?」であり、 そのために飯田社長が考えたのは、「品質がい
いものを安い価格で提供すること」を最低ラインとし、実行に移した。
◆品質については、野菜などどうしても長雨などで、低品質でかつ高
価格となることもあり、悩んだ末に考えたのが、オネスト(正直)カ
ードを用いて、正直に情報を提供する方法だった。
◆そういえば昔、町の八百屋さんでは、母に「長雨のためこの長ネギ
は悪いよ。 もうじきいいのが入るから、すき焼きそれからにしたら」
といった類の会話がよくなされていた。 オネスト(正直)カードは、
昔の、お客とお店の良き信頼関係を生みだす秘訣なのである。
◆圧倒的な低価格を生みだす仕掛けは、価格競争力の強い売れ筋商品
を原則的には仕入れずに、2番手の製品を大量に仕入れるというものだ。
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