~ サービスサイエンス的思考法でビジネスモデルを探る ~ 「バリアフリー」ではなく、「バリア・アリー」の革新的介護施設が高齢者に大好評だそうです。その秘密と仕掛けとは?
◆このセンターでは、通常のセンターでは考えられない常識破りの
方法を取り入れて、利用者である高齢者に大変な評判を博している。
◆例えば、「バリアだらけのバリア・アリー」といわれる施設内で
至るところで見られる「高齢者にとって不親切」と一見移るサービ
スや施設類。
◆「人生の坂道」と名付けられた手摺のない急な階段や、自分で動
いてお皿に盛りつける「バイキング形式の食事」などがあり、敢え
てこうしたバリアだらけの環境にすることで高齢者が自然にリハビ
リをすることに繋がるという。
◆さらに、レクリエーションの一貫として「おいちょかぶ」と呼ば
れる花札や、パチンコ、ルーレットなど、まるでここはカジノかと
見間違う程にギャンブルを取り入れて、奨励しているのだ。
◆もちろん、ここで掛けるのはお金ではなく、この施設内だけで使
える「ユーメ」という通貨。
◆この「ユーメ」というお金は、例えば自分の食器を片付けると5
ユーメもらえたり、リハビリの目標を立てると100ユーメ、達成す
ると500ユーメなどと決まっており、活動毎に受け取ることができる。
◆施設内のサービスを受けるには、必ずユーメで支払いをすること
になっている。 例えばコーヒー一杯飲むのにも、施設内展示即販
会などで花の苗を買うのにもユーメでの支払いが必要となる。
◆ギャンブルを通じて、皆楽しみながら自然と喜怒哀楽を表わすこ
とによって、眠りかけていた感情の起伏を感じ、頭をフル回転させ、
脳の活性化に役立たせるのが狙いであるという。
◆面白いのは、通常の施設では、作業療法士や介護士らが作ったメ
ニューが与えられるのが一般的であるが、ここでは毎日高齢者自ら
が、その日のサービスプログラムを選択するという仕組みを取り入
れているのである。
◆ここでは、例えば「ポパイ(筋トレ)」、「何もしない」、
「ボーっとする」、「のんびりする」、「ギャンブル」などのプロ
グラムの中から、高齢者自らが選択し、コミットするのである。
◆放映では、目を輝かせてプログラムを選択し、自ら喜んで自発的
に楽しみながら、リハビリを実行しているお年寄りの生き生きとし
た姿が映しだされていた。
◆結果も具体的数字で出ている。 重度の介護を要する要介護3の
お年寄りの初回利用からの改善率では、全国平均が11.5%であるの
に対して、みずうみ村では何と76.9%となっている。
◆この施設の成功要因は何か? それは、「守ってあげる」「保護
してあげる」対象として見ていたお年寄りを、「自立した」、「自
尊心を持った」対象として位置づけて、本人の自立支援をおこなう
と考えた点である。
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