~ サービスサイエンス的思考法でビジネスモデルを探る ~ 南太平洋のパプアニューギニア島の過酷なプロジェクトに見た日揮のサービス品質の高さとそれを支える現場力とは?
◆次に、この会社あるいは人に任せておいて心配はないという安心
感です。 それから、柔軟性です。サービスはモノと違って顧客の
要求に臨機応変に柔軟に対応することが求められます。 次に好印
象も重要です。 挨拶もしない、にこりともしないスタッフには、
顧客は気分を害してしまいます。 そして最後に、共感性です。
顧客が欲していることを悟るということです。
◆このようにサービスのバリューを高める要素を常に押さえて、サ
ービスをデザインし提供していくと、その品質に大きな欠陥が生じ
るということが少なくなり、品質にブレがなくなると思います。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■
■■ 強い現場力。 それは「権限委譲」と「教育」から
■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆日経BPの記事「暴動のパプアにひるまず」では、日揮が英石油
メジャーBPから受注した、パプアニューギニ島に建設した巨大液化
天然ガス基地建設プロジェクトにおける奮闘物語が綴られています。
◆5年間で1万人が働いた、総額3000億円の屈指の難工事といわれ
たそのプロジェクトを納期通りに成功させたのは、現場従業員の執
念に後押しされた現場力でありました。
◆工事が遅れれば遅れるほど給料をもらえる期間が延びるから、働
く労働意欲が低いパプア人。 ジャワ人の現場監督が強制的に働か
せようとすると、1000人規模の大暴動に発展し、投石や事務所荒ら
しが始まりました。
◆これを、現場工事の総責任者である日本人が、「ノーワーク・ノ
ーペイ(働かないものには給料を払わない)」という方針を一歩も
譲ることなく徹底的に貫き通し、無法地帯の現場に徐々に秩序を埋
め込んで、納期を死守しました。
◆もうひとつの問題が噴出しました。 それは、納期が大幅に遅れ
る可能性が出てきた「バルブ事件」です。 地元の鋳物会社から調
達した蒸気やガスの配管の調整弁(バルブ)1600個のうち4個に不
具合が発生し、蒸気が漏れだしました。
◆不良品だけを交換すると主張する地元の会社の申し出に応じて、
1600個のバルブをひとつずつ取り外して品質検査をしていたら、工
事は半年以上遅延することが判明しました。 現場の判断は、1600
個全てを欧州などの信頼できる供給先から代替品を購入するという
ものでした。
◆この決断によって、すぐに本社の購買部門が動き出し、チャータ
ー機で代替品を現場に送りこみ、現場では300人の専属チームを立
ち上げて、24時間体制でバルブを交換しました。 その時の追加費
用は15億円にも上りましたが、工事の遅延は1.5か月で済んだので
した。
次のページ正確性
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
ビジネス進化論
2009.08.05
2009.07.23
2009.07.19
2009.07.13
2009.07.06
2009.05.16
2009.05.14
2016.03.11