ビジネススクールでは教えられないリスクのとり方について引き続き考えてみたい。
ビジネススクールにおいて「リスクのとり方」は教えられない。それはビジネススクールの配慮によって教えられないものであって、また、教えたくても教えることが出来ないものである。
リスクをとるということは、不透明な環境において実際に意思決定して、決定に対してコミットして、目標の達成のために行動するということである。
ビジネススクールが提供することが出来るのは、それらのために役立つであろう基礎的な知識と、リスクを伴う意思決定や行動のためのシミュレーションの機会までである。
ビジネススクールでの教育を受けるために「勇気」や「覚悟」はいらない。それなりの勇気や覚悟がなければ、ビジネススクールの教育を受ける機会を手に入れることは出来ないし、一定のトレーニングを終了することは出来ないが、そこで勇気や覚悟が究極的に試されることはない。
ビジネススクールでの教育を受けるために、経営者としての資質やリーダーとしての可能性が評価されることはあるが、そのような評価が将来を完全に予測することはほとんどないようである。
Nothing is impossible. 努力するのも才能。
成功者は多くの試行錯誤と困難を乗り越えて成功をつかむ。しかし、その困難や試行錯誤が表舞台で語られることは少ない。人は、良いところや美しい部分を好む。それは成功者自身も同じである。ビジネススクールのような特別な機会が設けられなければ、成功者による成功論や経営論は、それを聞く人々から誤解を招いてしまうかも知れない。
Leaders speak with one voice.
成功した指導者の言動が相手に応じて大きく異なるのは適切ではないだろう。本音と建前を分けて考えるのは、日本の伝統的な価値観かも知れないが、それらのギャップを埋めるような思考や徳のようなものが必要である。
今のままではいけない。
未来は、過去と現在の先にあるが、今、現在の努力が明るい将来を約束してくれるものでは決してない。そうは言っても今努力するしかないのだが、将来に向けての「学習と成長の視点」が欠かせない。一方で、成長や学習などという耳障りの良い言葉によって足元を危うくしてもいけない。そこにあるのは「矛盾」や「混沌」である。そのような矛盾や混沌の中に、一定の方向性や規則性を見出す時にリスクのとり方が見えてくるようである。
「先人の知恵や歴史」と「自らの実践」しか問題に対する解答を与えてくれるものはないだろう。
重要なのは「今のままではいけない」ということを正しく理解して、適切に対処することである。
【V.スピリット No.95より】
V.スピリット総集編5
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