ブランド 【3】

2008.08.01

営業・マーケティング

ブランド 【3】

猪熊 篤史

企業や製品・サービスの個性について引き続き考えてみたい。

ブランドの第1の階層である、製品・サービスの特徴、機能、顧客にとっての価値や便益、そしてメッセージやコミュニケーションが堆積して第2の階層が形成される。

企業は、その時々の市場環境等に適合したブランドの第1の階層を構成する要素を提供しなければならない。また、時間の経過、市場、社会、技術や人々のライフスタイルの変化に従って第1の階層の上に、新しい第1の階層が形成される。企業が成長・存続するためには新しい第1の階層が形成されなければならない。

古い第1の階層の積み重なったものが古いものから順に第2の階層に移行する。第2の階層の形成には数十年かかるが、優れたコンセプト、あるいは、優れたビジョンによって、戦略的、あるいは、芸術的かつ科学的に第2の階層を比較的短期間で形成することは不可能ではないようである。比較的短期間で数十年、数百年持続するブランドの基盤を創ることはできる。

この第2の階層はどこに形成されるのか。概念的には、第1の階層の内側(内部)であるが、現実的には、目の前の製品を分解すると第2の階層の要素が現れるわけではない。サービス提供者を問い詰めても第2の階層をのぞき見ることはできない。

第2の階層は、我々の記憶、感情や感覚、潜在意識、あるいは、長い年月をかけて構築し、更新される人類の「英知のデータベース」とでも呼べるようなものの中に構築される。物理的に知覚・認識できるのは第1の階層の第1の要素と第2の要素までである。それ以上は、人によって状況が違い説明が異なるため、明確に把握することは困難である。

我々の中に蓄積され、凝縮された第2の階層が、第1の階層となる具体的な製品や提供されるサービスの表層からオーラのような熱や空気のようなものを発する。それが第3の階層になる。このような第3の階層まで含めたものがブランドの正体である。 (次回に続く)

【V.スピリット No.90より】

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