企業や製品・サービスの個性について引き続き考えてみたい。
ブランドの第4の要素は、メッセージであり、コミュニケーションである。製品やサービスに対して、どのような内容を、どのように説明しているか、どのように顧客や潜在顧客、あるいは社会に対してコミュニケートしているかということが重要である。
製品についての説明、サービスのキャッチコピー、名称や愛称などをはじめとして、製品がいくらなのか、どのように価格設定されているのか、どこで売っているのか、どんな人がサービスを提供しているのか、どんな販売なのか、どのような広告媒体を使用していて、誰が宣伝しているのか、どのような言葉使いがされているのかなど、これら全てが製品やサービスについてのメッセージであり、コミュニケーションである。
これら4つの要素がブランドの第1の階層を形成する。それは、マーケティングの2C(No.19~21参照)である完全製品(Complete product)とコミュニケーション(Communication)にも対応する。ブランドの第1の階層は、製品(特徴と機能)とコミュニケーション、そしてその間をつなぐことにもなる顧客の知覚・認識する価値や製品やサービスが満たす顧客の便益からなる。
第2の階層は3つの要素で構成される。第2の階層は、第1の階層の上ではなく、内部に形成される。円形の第1の階層の内部が第2の階層だと考えると分かりやすいであろう。第2の階層は第1の階層の要素が凝縮されてできるエネルギーのようなものである。具体的には、製品やサービス提供者(企業)の歴史や沿革、顧客や消費者の経験、そして、製品やサービス提供者(企業)自身の経験や実績などである。
製品やサービス提供者(企業)の歴史や沿革とは、第1の階層の要素をどのように提供してきたかという、比較的無機質な事実の積み重ねであり、積み重なり方である。企業の意図しない事故なども歴史に刻まれてしまう。
これに対して、顧客の経験とは、ある製品やサービス提供を受けた顧客が知覚・認識した価値が比較的長い期間においてどのように変化したのかということである。「あまり期待しないで買ったのに、使ってみるととても良くて、その後も長く使っている」、あるいは、「持っていると周囲の注目を集めるので、気分が良いが、比較的短期間で新しい商品が発売になるので、また新しい商品を買わないといけない」など、顧客の知覚・認識する価値や便益がどのように満たされ、それが時間とともにどのように変化するかということも重要な要素となる。
そして第2の階層の第3の構成要素は、事業や製品展開における沿革や顧客価値提供の歴史を持つ企業の実績である。それは、製品やサービスの提供者である企業における運営やマーケティングなどの能力、顧客サービスにおける経験や学習、顧客との関係やネットワークなどの蓄積である。
これらが、ブランドの第5、第6、第7の要素となる。 (次回に続く)
【V.スピリット No.89より】
V.スピリット総集編5
2008.08.04
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