ビジネススクールでは教えられないリスクのとり方について考えてみたい。
経営大学院などのビジネススクールは、経営者としての視点を養い、リーダーとしての思考を身に着け、自信を高めるために有効な教育機関である。
航空機エンジンから、医療用機器、金融、メディアまで多角的な事業ポートフォリオを維持するGEがビジネス界で高い評価を維持しているのは、GEが事業とその変革を生み出す「工場」であると同時に変革を主導する人材を生み出す教育機関であるからだと言える。それは選択と集中によって優位性を高める経営の次の段階の経営の一つの良いモデルとなるだろう。
人材育成型、人材輩出型のビジネスは、人のふんどしで相撲をとるような商売やインフラを整備して、その上で有能な役者に踊ってもらうビジネスとは異なる。
人材育成は、潤沢な資金、社会的な認知や信頼があるからこそできる「贅沢」である側面もあるであろう。しかし、人材が育たない組織に将来はない。そもそも人材の育成が出来ない組織は組織として成立しない。
人材を育成する組織の基本は、経営者自身の学習意欲であろう。それは現状に対する危機感や問題意識だと言い換えることも出来る。より多く、より広く、より深く学ぶために経営者は自分の持っている知識、情報、ノウハウを他者と共有する。知識、情報、ノウハウの共有やそこからのフィードバックを通して、経営者はより高度な気付きや学びを得ることが出来る。そんな活動や交流を通して組織は全体として発展し、また、成長していく。
製品の製造方法などに関わるものはやや異なるが、人に関わるもの、別な言い方をすれば、組織の運営や経営に関して秘密はないだろう。製造技術などにしても、人が関わる以上、厳重な情報管理や特許に守られていることに安住していては技術の進歩や情報的価値の劣化に伴って時代の底へと沈んでしまうだろう。
知識やノウハウが短期的な利益を稼ぐための「テクニック」で終わってしまっているようでは、持続的な成長や中長期的な発展は望めない。
学習において最も効果的なのは、体験すること、つまり、自分で直接取り組んでみることである。次に良いのは成功者など、一定以上の成果をあげた者、あるいは、失敗者のうち失敗という事実を克服した者の話を聞くこと、あるいは、それらを本などで読んで学ぶことである。
そのような、間接的に獲得される知識を自らの知識や能力として定着させるためには、それを実践してみる必要がある。自分の言葉で書き記すことや表現すること、また、書き記すことや表現出来ることも重要である。 (次回に続く)
【V.スピリット No.93より】
V.スピリット総集編5
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