財務諸表が表さない人に関わる価値について引き続き考えてみたい。
ハランスシート(貸借対照表)が表さない価値とは、人に関わる価値である。それは人の持つ付加価値である。
こんな風に考えてみてはどうだろうか?
人の価値は無限大(∞)である。しかし、人はそれぞれ付加価値を持っている。A,B,Cという3人がいるとすれば、それぞれの人の付加価値は、例えば、A200、B500、C280という形になる。単純に200、500、280という数値を比べれば、500が一番大きく、一番付加価値が高いということになる。数値の大きさを決めるのは、通常、その人が働く組織や業界の判断である。勤め先や評価者が変れば数値も変る。しかし、そのような不安定な基準によって決まる数値が持つ意味は明確である。つまり、数値の大きい方が価値が高いということである。(Aの価値をあえて表現すれば∞+A200となる)
一方で、A,B,Cという3つの記号(タイプ)の価値は、単純にA>B>Cではない。また、その価値はその他の記号との組合せによって異なる。例えばAの次にくるBの価値は高いが、Cの次にくるBの価値は低かったりする。
このためA200とB500を他者との組み合わせにおいて比べたときにどちらの価値が高いかは一概には言えない。
A,B,Cの3人からなるシンプルな企業の基本的な価値はそれぞれの基本的な付加価値の合計980(200+500+280)である。さらにこの組織の付加価値(シナジー)が加減される。組織の付加価値とは、A,B,Cの組合せで決まる。例えば、A,B,Cの順番であれば100、B,A,Cであれば200、C,B,Aであれば-200いう具合である。(実際はもっと複雑であり、組合せは直線的ではなく、平面的、あるいは、立体的になるだろう。)
上述の例で言えば、A,B,Cという組織(例えば、Aが社長で、Bが部長、Cが社員)の企業価値は1080 (980+100)ということになる
別の企業が、このA,B,Cの3人からなる企業を買収するのであれば、1080の価値を支払わなければならないことになる。
この負債の全くない企業が、100の価値がある事業用の土地、建物、在庫などの資産を持つ場合、この企業の付加価値は980(1080-100)となる。これが「のれん(営業権)」の価値である。
実際は、上述のような人の付加価値だけではなく、組織が持つ取引先との関係、実績、歴史、信用、経験、ノウハウ、システム効率などが数値化されて、企業の付加価値に加減されると考えられる。
このような「のれん」は通常バランスシートには反映されない。一方で、買収や合併によって顕在化する「のれん」をバランスシートに反映するか、反映しないのかは議論の分かれるところである。
バランスシートに通常反映されないのであれば、買収や合併によって顕在化した「のれん」もバランスシートに反映されないように処理するという考え方が日本では優勢である。 (次回に続く)
【V.スピリット No.81より】
V.スピリット総集編5
2008.08.01
2008.08.01
2008.08.01
2008.07.30
2008.07.30
2008.07.29
2008.07.28
2008.07.22
2008.07.22