ベンチャーなど成長企業の株式について引き続き考えてみたい。
企業価値を評価するためには、事業計画と、それに基づいたキャッシュフローの見通しが必要になる。事業計画が不明確である場合や具体的な事業計画に対して漠然とした、しかし、大きな成長可能性を持っている事業は、従来型の価値評価
方法では評価できない。
企業価値は、予測される企業価値と予測困難な企業価値によって決まると考えられる。
企業価値 = 予測される企業価値+予測困難な企業価値
予測困難な企業価値は「宝くじ」のようなものである。当選することが少ないため、紙切れとしての価値はほとんどない。しかし、当選すれば、派手な生活をしない限り一生働かずに生活できる財産を得ることができるようなものである。
あるいは、「保険」である。事故にあったり、病気になることは、確率的には低いが、もしもの時の出費を埋めてくれるものである。また、それを保有していることによって「安心」という非金銭的な価値を得ることができるものである。
企業価値における、このような宝くじ的、あるいは、保険的な部分は「オプション」である。それは、ある特定の条件下で、特定の権利を行使することができる選択権である。
このようなオプションの価値を決める重要な要素の一に、不確実性がある。100枚のカードの中に当りが1枚含まれている場合よりも、コインの表が出たら当り、裏が出たらはずれという場合の方が不確実性が高いことになる。前者の当選確率は1%、後者は50%である。前者の場合は、まず当たらないと思って間違いないが、後者の場合は当たるか当たらないかハラハラ、ドキドキするような不確実さがある。
このような不確実性を判断する方法は2つある。一つは過去の動向・推移・歴史をもとに判断する方法である。もう、一つは、実態を見極めて決める方法である。実態の見極めには過去の動向も重要な情報になるが、現状分析や将来の見通しも重要である。
これは前述の「予想される企業価値」を評価するための事業計画を分析する作業と手続き的には同じであるが、推定値の計測や仮定条件の設定など、はるかに創造的な作業になるだろう。綿密な計算と「なんとなく」という大まかな感覚がほぼ一致することもあるだろう。 (次回に続く)
【V.スピリット No.70より】
V.スピリット総集編4
2008.07.16
2008.07.15
2008.07.14
2008.07.12
2008.07.12
2008.07.13
2008.07.11
2008.07.11
2008.07.10